2025.10.26

四十九日までの過ごし方|遺族がやるべきこと・控えることを解説

「四十九日までは静かに過ごすと聴いたけど、具体的にどう過ごせばいいの?」
「四十九日までに手をつけておいたほうがいいことはある?」

四十九日までの過ごし方には、昔からの慣習に基づく一定の決まりがあります。

約束事を知らなかった場合、知らず知らずのうちに非常識な行動をとってしまう可能性もあります。

近年は昔よりも緩和されていますが、それでも知っておいて損はありません。

本記事では、四十九日までにやるべきこと・してはいけないことを解説します。

四十九日後の過ごし方も紹介しているため、「何をすべきか」「何を控えるか」を明確にしたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

<この記事でわかること>

・四十九日の期間の意味
・四十九日までにするべきこと
・四十九日の間控えるべきこと
・四十九日を終えてからの過ごし方

四十九日までが特別視されている理由

四十九日までが特別視されている理由

本章では、仏教において重要な四十九日の意味について解説します。

  • 四十九日は故人の魂が裁かれる期間
  • 四十九日間は「忌中」とされている

ひとつずつ見ていきましょう。

 

四十九日は故人の魂が裁かれる期間

仏教では、故人が亡くなってから四十九日目まで、7日ごとに合計で7回、生前の行いを裁かれると信じられています。

最終日である四十九日目は、故人の魂が生まれ変わる先を決める大切な日です。

残されたご遺族は、最終の裁きが下される日まで、故人の冥福をお祈りします。

本来は7日ごとに法要を執り行いますが、近年は省略されるか、最初の法要(初七日法要)と四十九日法要のみ行うのが一般的です。

法要 期間 実施の有無
初七日 亡くなってから最初の法要 執り行う
二七日~六七日 7日ごとの法要 省略する
四十九日 四十九日目の最後の法要 執り行う

 

四十九日間は「忌中」とされている

四十九日までの期間は「忌中(きちゅう)」と呼ばれています。「喪中)もちゅう)」と混同されやすいですが、意味が異なります。

用語 期間 主な内容
忌中 葬儀後から四十九日まで 故人の成仏を祈る期間で、祝い事を避ける
喪中 四十九日以降〜1年間 故人を偲びつつ日常を控えめに過ごす期間

厳密に定められているわけではありませんが、「忌中」は宗教的な期間、「喪中」は社会的な慣習といえます。

そのため、忌中期間は祝い事や派手な行動を慎み、静かに過ごすことが望ましいとされています。

喪中・忌中の違いを理解すれば、対外的なマナーや行動の判断もしやすくなります。

 

四十九日までにしておきたいこと

四十九日までにしておきたいこと

四十九日までは、故人の供養・法要の準備を行います。時間に余裕があれば、行政手続きを済ませておきましょう。

具体的な内容は、以下のとおりです。

  • 後飾り祭壇(中陰壇)を設置する
  • 毎日のお供えとお祈りをする
  • 7日ごとに法要を執り行う
  • 納骨・位牌・仏壇・お墓の準備をする
  • 遺品整理と形見分けをする
  • 葬儀後の行政手続きを済ませる

それぞれの内容を見ていきましょう。

 

後飾り祭壇(中陰壇)を設置する

葬儀後から四十九日目まで「後飾り祭壇(中陰壇)」を設置します。これはご遺骨や白木位牌を祀るための仮の祭壇です。

ご遺族が日々手を合わせる場所としても使用します。後飾り祭壇を設ける際のポイントは、以下のとおりです。

  • 祭壇に白い布をかける
  • 花・水・果物などを供える
  • 線香やロウソクは毎日灯す

後飾り祭壇は、葬儀を依頼した葬儀社が設置してくれるケースがほとんどです。

自分で用意することも可能で、近年は通販でレンタルまたは購入もできます。

【関連記事】
四十九日法要の祭壇の飾り方|宗教・宗派別の違いと必要なもの一覧

 

毎日のお供えとお祈りをする

四十九日までの間、後飾り祭壇で毎日のお供えをし、お祈りをします。お供えの内容は以下のとおりです。

内容 ポイント
線香・ロウソク 毎日灯し、故人の冥福を祈る
水・お茶 毎朝新しいものをお供えする
ご飯 毎朝、誰よりも最初の炊き立てのご飯をお供えする
お花 生花をお供えし、枯れたら取り替える
お菓子・果物 日持ちするものをお供えし、悪くなる前に下げる

お祈りの内容は、難しく考える必要はありません。故人の冥福をお祈りしたり、日々の感謝を伝えたりしましょう。

 

7日ごとに法要を執り行う

仏教では、亡くなった人の魂は、7日ごとに裁きを受けると考えられています。

そのため、ご遺族は初七日・二七日・三七日と供養を行い、七回目の四十九日法要で成仏を願います。

しかし、近年は7日ごとに法要を執り行う家庭はほぼ見られません。

最初の初七日法要と、最後の四十九日法要のみを執り行うケースが多い傾向です。

コープの家族葬』がサービス提供している北海道では、葬儀の日に初七日や四十九日法要を併せて執り行うケースも多く見られます。

「繰り上げ法要(または繰り下げ法要)」と呼ばれる形式で、近年は本州でも増えているようです。

なお、宗派や寺院によっては、親族が集まっての法要は行わないものの、僧侶が自宅を訪問して読経を行う場合があります。

 

納骨・位牌・仏壇・お墓の準備をする

四十九日目までに、位牌を用意します。また、納骨の準備を進める家庭も多い傾向です。

項目 内容
位牌 本位牌を用意する
制作まで1〜2週間かかるため、早めの手配がおすすめ
仏壇 仏壇がない場合は、四十九日までに用意しておく
位牌の大きさを決めてから購入するのがおすすめ
納骨 菩提寺や霊園に連絡し、納骨の日取りを決める
お墓 お墓がある場合は、戒名の彫刻を依頼する

宗派や地域のしきたりによって、細かい部分は異なります。わからない場合は、菩提寺や葬儀社へ早めに相談すると安心です。

なお、お墓がない場合、無理に四十九日に用意する必要はありません。

また、お墓がある場合でも「まだ納骨したくない」と思う場合は、気持ちが落ち着いたタイミングで納めましょう。

 

遺品整理と形見分けをする

遺品整理や形見分けは、故人との思い出を大切にしながら行う作業です。

急ぐ必要はなく、四十九日以降に少しずつ進めても構いません。

ただし、遺品整理や形見分けには多くの時間と労力が必要で、処分に親族の許可がいる場合もあります。

葬儀の際に相続人が集まり、遺品についての話し合いができるのであれば、四十九日までにある程度進めておいてもよいでしょう。

 

葬儀後の行政手続きを済ませる

葬儀が終わると、名義変更や各種手続きが必要になります。具体的な手続きの内容は、以下のとおりです。

  • 銀行口座の名義変更や相続手続き
  • 年金・保険・公共料金の手続き
  • 遺産分割協議書や相続登記の準備

上記のほかにも、さまざまな手続きが必要です。

多くの自治体では、逝去後に必要な手続きをまとめた案内を用意しています。

例えば、北海道函館市であれば「おくやみハンドブック」というものが用意されています。

『コープの家族葬』が無料で配布しているパンフレットでも、詳しい手続きを確認可能です。

行政手続きは、放置するとトラブルに発展する原因になるため、早めに対応しましょう。

参考:函館市「おくやみに関する手続きについて

 

四十九日までにしてはいけないこと・控えるべきこと

四十九日までにしてはいけないこと・控えるべきこと

四十九日までの期間は「忌中」と呼ばれ、故人の冥福を祈る時間です。

この間は祝い事や娯楽を避け、落ち着いた生活を送るのが基本とされています。

具体的に「してはいけない」「控えるべき」とされているのは以下の5つです。

  • 結婚式や披露宴
  • 旅行やレジャー
  • 新居購入や新生活
  • 神社参拝や新年のお祝い

「してはいけないこと」だけでなく、どうしても避けられないケースや、代替方法も解説します。

 

結婚式や披露宴

忌中の間は、祝い事に参加したり主催したりすることを控えるのが一般的です。

具体的な内容は、以下のとおりです。

  • 結婚式や披露宴への出席
  • お祝いの贈答・祝電の送付
  • パーティーの開催・参加

お誘いをいただいた際は、主催者に「忌中のため辞退いたします」と丁寧に伝えましょう。

結婚式や披露宴を主催する立場の場合は、延期するのが一般的です。

ただし、延期に費用がかかる可能性もあるため、両家同士で相談して決めることをおすすめします。

 

旅行やレジャー

四十九日までは、旅行や娯楽はなるべく控えるのが望ましいとされています。

楽しみを禁じる目的ではなく「故人の冥福を祈る時間を大切にする」という考え方に基づきます。

避けるべきと言われている行動は、以下のとおりです。

  • 長期的な旅行
  • 宴会や飲み会
  • 派手な外出

一方で、気分転換のための短い散歩や、ちょっとした外出は問題ありません。

楽しむよりも、穏やかに過ごすことを意識すれば、忌中期間を自然に過ごせます。

また、厳密な決まりではないため、状況に応じて参加するか決めることも可能です。

 

新居購入や新生活

新生活のスタートは、きれば四十九日を過ぎてからが望ましいとされています。

忌中に移り住む行為は、不幸や怪我をもたらすとも言われています。

ただし、着工時期や仕事の都合などで避けられない場合は、家族と相談して引っ越しのタイミングを決めましょう。

形式にこだわりすぎず、故人を思う気持ちを持ちながら行動することが大切です。

 

神社参拝や新年のお祝い

日本に古くからある宗教の「神道」では、「死=穢れ」と考えられています。

そのため、忌中に神社参拝を行うのは控えるのがマナーです。

また、新年のお祝いも避けましょう。代わりの対応は以下のとおりです。

項目 対応方法
年賀状 「喪中はがき」や「寒中見舞い」で挨拶する
新年の挨拶 「本年もよろしくお願いします」と伝える
※「あけましておめでとうございます」は使用しない
神社の参拝 四十九日を過ぎてから再開する
※お寺への参拝は問題ない

 

四十九日後(忌明け)からの過ごし方

四十九日後(忌明け)からの過ごし方

四十九日を過ぎると「忌明け」となり、日常生活を少しずつ取り戻す時期に入ります。

また、葬儀で香典をいただいた方へのお礼や、四十九日法要を終えた報告なども必要です。

  • 旅行やレジャーなどの娯楽の再開
  • 葬儀でいただいた香典へのお礼
  • 四十九日法要を終えた報告
  • 四十九日後の日々の供養

本章では、四十九日法要後の過ごし方や、するべきことについて触れていきます。

 

旅行やレジャーなどの娯楽の再開

四十九日を過ぎれば、旅行やレジャーなどを再開して問題ありません。

ただし、忌中を過ぎても「喪中」であることを忘れてはいけません。

結婚式への参加やお祝い事への出席は、引き続き避けるのが一般的です。

また、忌明け直後はまだ心の整理がつかない場合もあります。

社会的な行動を再開する際は、自分の気持ちを最優先に、無理のない範囲で進めましょう。

 

葬儀でいただいた香典へのお礼

忌明け後には、葬儀でいただいた香典へのお礼(香典返し)を送ります。

香典返しの詳細は、以下のとおりです。

送るタイミング 四十九日法要後〜1カ月以内
表書き 「志」や「満中陰志」
相手 香典をいただいた方

香典返しの際は、法要のお礼を兼ねた挨拶状を添えるのが丁寧です。ご葬儀を支えてくれた人への感謝を伝えましょう。

なお、北海道では、葬儀当日に香典返しをお渡しする「即日返し」が一般的です。

そのため、四十九日後に香典をお返しするのは、以下の条件に該当する方に限ります。

  • 高額な香典を頂いた方
  • 郵送でご厚志をいただいた方

香典返しに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】
香典返しには何を返すべき?適切な品物・費用相場・送るタイミングを解説

 

四十九日法要を終えた報告

四十九日法要が終了した際には、法要を終えた挨拶状を送ります。

送る相手は、葬儀・通夜に参列いただいた方や、香典・供花・お供えをいただいた方などです。

四十九日法要が終了してから、1カ月以内には送りましょう

詳しいマナーや文例は、以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

【関連記事】
【例文あり】四十九日法要の挨拶状の書き方|送る範囲・基本マナーも解説

 

四十九日後の日々の供養

忌明けを過ぎても、供養は終わりではありません。日々のお供えは「五供(ごく)」が基本となります。

五供とは、香・花・灯明・浄水・飲食の5つのお供えのことです。五供をお供えし、手を合わせましょう。

ただし、浄土真宗では浄水(お水やお茶)の代わりに「樒(しきみ)」と呼ばれる青木をお供えします。

また、日々の供養だけでなく、月命日にお坊さんからお経を上げてもらうのも、よい供養になります。

お盆・お彼岸には身内だけでもいいので法要を執り行い、日々の感謝を伝えましょう。

そのほか、以下の節目には年忌法要を執り行います。

  • 一周忌:命日から満1年
  • 三回忌:命日から満2年
  • 七回忌:命日から満6年
  • 十三回忌:命日から満12年

年忌法要は以降も続き、一般的には三十三回忌か五十回忌で弔い上げ(最後)とする家庭が多い傾向です。

【関連記事】
法要とは?初めての喪主・参列者に向けたマナーや準備内容を解説

 

【Q&A】四十九日までの期間や過ごし方に関してよくある質問

【Q&A】四十九日までの期間や過ごし方に関してよくある質問

四十九日までの過ごし方には、昔からの風習や宗派による違いが多く存在します。

本章では、四十九日までの期間の考え方や、過ごし方についてよくある質問をまとめました。

Q.四十九日の間は「家を空けてはいけない」というのは本当ですか?
Q.四十九日間は電気をつけっぱなしにするのはなぜでしょうか?
Q.四十九日間は精進料理を食べなければいけないのですか?

ひとつずつ回答します。

 

Q.四十九日の間は「家を空けてはいけない」というのは本当ですか?

A.昔からの慣習で「家を空けてはいけない」と言われています。

「故人の魂は四十九日間家に留まる」という考え方もあったためです。

「家を空けると、故人が寂しい思いをする」という言い伝えから来ているとされています。

しかし、厳密に守る必要はありません。大切なのは「家を空けない」という行動を守ることではなく「故人を想う気持ちを忘れない」ことです。

 

Q.四十九日間は電気をつけっぱなしにするのはなぜでしょうか?

A.仏教の教えに基づいた考え方です。本来は、ロウソクや線香の火を絶やさず灯すとされています。

灯りを絶やさない理由は、以下のとおりです。

  • 故人の魂が迷わないように願いを込めて
  • 裁きを受けている故人の足元を照らすため

ロウソクの火が、現代では照明に変わり「電気をつけっぱなしにする」と言われるようになりました。

 

Q.四十九日間は精進料理を食べなければいけないのですか?

A.間違いではありませんが、厳密に守る必要もありません。

仏教では、四十九日間は肉や魚を避けるべきとされています。

四十九日の節目には「精進落とし」と呼ばれる会食を用意し、以降から通常の食事に戻すのが慣習です。

しかし、現代で精進料理を食べ続けるケースはほぼありません。

 

まとめ:四十九日までは故人を偲びつつ静かに過ごす

四十九日までの期間は、故人の魂がどこに生まれ変わるか決まる審判の時間です。

故人の冥福をお祈りしつつ、派手な行動やお祝いは避けて過ごすのがマナーです。

本記事で紹介した「しておくべきこと」と「控えるべきこと」を意識し、落ち着いて忌明けを迎える準備を整えましょう。

過ごし方に不安や疑問がある場合は、葬儀社や菩提寺などへ相談することをおすすめします。

『コープの家族葬』では、葬儀だけでなく、各種手続き・香典返し・法要のサポートも実施しています。葬儀後の流れに不安のある方は、お気軽にご相談ください。

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