「葬儀で喪主を務めるが、挨拶で何を話したら良いか分からない」「使ってはいけない言葉や、気をつけるポイントはあるのだろうか」
葬儀では、喪主や遺族が挨拶をする場面が複数回あります。参列者や宗教者に感謝を伝えるための重要な挨拶ですが、大切な方を亡くした悲しみから、挨拶にまで気が回らないケースが多くみられます。
逝去から葬儀までは慌ただしく過ぎるケースがほとんどのため、一から挨拶を考えるのは大変です。
本記事では、参列者や宗教者に感謝を伝えつつ、故人の葬送に集中できるよう挨拶のマナーについて解説します。
喪主を務める予定のある方、葬儀で喪主に代わり挨拶をする予定がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
<この記事でわかること> ・喪主が挨拶をするタイミング ・シーンごとの挨拶の例文 ・挨拶をする際のマナー |
葬儀の挨拶は誰がする?
葬儀での挨拶は、基本的に喪主が務めます。
ただし厳密な決まりはないため、喪主が気を落として挨拶がままならないときや、高齢・疾病などの理由で挨拶が難しいときは、遺族や親族が代理で挨拶するケースも見られます。
喪主が挨拶をするタイミングは5つ
喪主がする挨拶は、大きく以下の5つのタイミングに分けられます。
- 僧侶をお迎えしたとき
- 参列者が会場に到着したとき
- 通夜・告別式が閉式するとき
- 通夜振る舞いの開式と閉式のとき
- 僧侶をお見送りするとき
なお上記の挨拶は、葬儀の規模が比較的小さな家族葬でも必要です。
僧侶をお迎えしたとき
式場に僧侶が到着した際には、喪主より僧侶へ挨拶を行います。挨拶をする場所は僧侶の控え室などが多いです。
「本日はご足労いただきありがとうございます。2日間よろしくお願いいたします」のように簡潔に故人を供養していただくことへの感謝を伝えましょう。
なお、通夜と葬儀が1日で完結する1日葬の場合は、「本日はよろしくお願いいたします」と日数を変えて伝えてもよいでしょう。
参列者が会場に到着したとき
参列者が会場へ到着した際は、喪主や遺族が参列していただいたことへの感謝を述べます。
挨拶の内容は、例えば以下のとおりです。
「本日はお忙しいなかご参列いただき誠にありがとうございます」
「○○さん(参列者)に参列していただいて、○○(故人の名前)もよろこんでいると思います」
「○○(故人の名前)の妻です。本日はご足労いただきありがとうございます」
参列者への挨拶は、喪主だけでなく遺族が対応する場合もあります。
通夜・告別式が閉式するとき
通夜・告別式が閉式する際には、参列者に向けて喪主から挨拶を行います。
挨拶の内容は、参列いただいたことへのお礼と通夜・告別式終了の報告です。
文例は『喪主が挨拶をする際の文例』にて紹介しています。
通夜振る舞いの開式と閉式のとき
通夜振る舞いは、故人の供養や参列者へのお礼として設けられる席です。
近年は通夜振る舞いを省略する形式も増えていますが、席を設ける場合は始めと終わりに喪主から挨拶を行います。
文例は『喪主が挨拶をする際の文例』にて紹介しています。
僧侶をお見送りするとき
通夜や告別式が終わったあとには、お見送りと御礼の挨拶をします。
通夜振る舞いに出席する際はお見送り時、出席されない際は控え室で挨拶をするのが一般的です。
文例は以下のとおりで、お経をあげていただいたことへの感謝を伝えます。
「本日はありがとうございました。おかげ様で無事に通夜を執り行うことができました。明日もよろしくお願いいたします。」
喪主が挨拶をする際の文例
喪主が挨拶をする際には、以下の内容を盛り込みます。
- 故人と喪主との関係
- 葬儀へ参列いただいたことに対する礼
- 故人と生前のお付き合いへのお礼
- 故人の生前の人となりなど
- 今後のお付き合いのお願い
上記を踏まえた例文を、以下場面ごとに紹介します。
- 通夜・告別式後の挨拶の文例
- 通夜振る舞い前後の文例
ひとつずつ見ていきましょう。
通夜・告別式後の挨拶の文例
本日はお忙しい中、父○○(故人の名前)の葬儀にご参列いただき、誠にありがとうございます。
長女の○○(自分の名前)でございます。 遺族、親戚を代表いたしまして、ごあいさつ申し上げます。 父は、○月○日永眠いたしました。享年○歳でございました。 (生前のお付き合いのお礼) (故人の生前の人となりなど) 生前、皆様から頂きましたお心遣いに対し、感謝の気持ちでいっぱいでございます。 父になり代わりましてお礼申し上げます。 本日は最後までお見送りいただきましてありがとうございました。 |
「生前のお付き合いのお礼」「故人の生前の人となりなど」に、特に形式はありません。以降で解説する『喪主が葬儀で挨拶をする際のマナー』に配慮しつつ、自分の気持ちを伝えましょう。
通夜振る舞い前後の文例
通夜振る舞いの前
本日はお忙しい中ご会葬いただきまして、誠にありがとうございました。
生前は皆様方に格別のご厚情を賜りまして母も大変感謝いたしておりました。 また存命中には、ひとかたならぬお世話になりました事を厚く御礼申し上げます。 ささやかではございますが、お食事の席をご用意いたしました。 私の知らない父のエピソードなどをお聞かせいただければ幸いです。 なお、葬儀・告別式は、明日の○時より同式場にて執り行います。 本日は誠にありがとうございました。 |
通夜振る舞いの後
本日は、父○○(故人の名前)の通夜にご参列頂き誠にありがとうございました。
まだまだ皆様のお話などを承りたく存じますが、そろそろお時間となりましたので、本日はこれにてお開きにしたいと存じます。 どうか今後も変わらぬお付き合いをよろしくお願い申し上げます。 本日は誠にありがとうございました。 |
喪主が葬儀で挨拶をする際のマナー
葬儀で挨拶をする際は、以下のマナーに注意しましょう。
- 3分前後にまとめる
- 忌み言葉に気をつける
- ゆっくりと話す
- 不安なときはメモを用意してもよい
ひとつずつ解説します。
3分前後にまとめる
挨拶は3分前後にまとめましょう。長くても5分ほどにします。
長すぎると参列者の負担になってしまう可能性があるためです。通夜振る舞いの場であれば、挨拶が長いと料理が冷めてしまいます。
伝えたい内容はたくさんあるかもしれませんが、3〜5分程度に留めるのがマナーです。
忌み言葉に気をつける
忌み言葉「いみことば」とは、弔事で避けるべきといわれている言葉です。具体的には、以下の表が忌み言葉とされています。
忌み言葉 | |
---|---|
重ね言葉 | 重ね重ね・ますます・度々・いよいよ |
直接的な表現 | 死ぬ・急死・死亡・生存中・生きていたころ |
不吉な事柄が連想される言葉 | 4(死)・9(苦)・消える・無くなる・浮かばれない・四苦八苦・大変・終わる |
不幸の繰り返しを連想させる言葉 | 続いて、再三、引き続き、次に、追って、再び |
上記の言葉は、挨拶で使用するべきではないとされています。
また、直接的な表現である「死ぬ・急死・死亡などは」「逝去」「生前」などに言い換えましょう。
ゆっくりと話す
葬儀での挨拶は、ゆっくりと話しましょう。参列者に高齢者が多い場合は、声のボリュームにも配慮が必要です。
なお、マイクが用意されている場合は、それほど大きな声を出す必要はありません。
不安なときはメモを用意してもよい
葬儀で挨拶をする際は、メモを見ながら話しても問題はありません。
大切なのは、挨拶を暗記することではなく、参列者や宗教者に感謝を伝えることです。
人前で話すのに慣れていない、逝去に際してしっかりと挨拶できるか不安という方は、メモなどのカンペを用意しておきましょう。
また、葬儀の挨拶では、言葉がつまってしまったり、泣いてしまったりしてもマナー違反とはなりません。
まとめ:葬儀の挨拶は参列者や宗教者に感謝を伝える大切なもの
葬儀では、以下5つのタイミングで喪主からの挨拶が必要です。
- 僧侶をお迎えしたとき
- 参列者が会場に到着したとき
- 通夜・告別式が閉式するとき
- 通夜振る舞いの開式と閉式のとき
- 僧侶をお見送りするとき
挨拶は3〜5分程度にまとめましょう。参列者が聞き取りやすいボリュームでゆっくりと挨拶します。
参列者や宗教者に感謝を伝える大切な挨拶ではあるものの完璧に挨拶する必要はありません。
言葉につまったり、途中泣いてしまってもよいので、自分の気持ちを素直に伝えられるようにしましょう。