「仏壇にある鈴の鳴らし方が分からない」
「仏壇の拝み方を知りたい」
近年は自宅に仏壇のない家も増えており、親族に不幸があった際や弔問時に作法が分からず戸惑う方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、鈴(りん)の意味や鳴らし方を解説します。仏壇を拝む作法も流れに沿って紹介しているため、新たに仏壇を用意する方や弔問の予定がある方はぜひ参考にしてください。
<この記事でわかること>
- 鈴(りん)の意味や由来
- 鈴(りん)の基本的な作法
- 仏壇の拝み方
鈴(りん)とは?由来や役割を解説
鈴(りん)とは、僧侶がお経を唱える際に使用する「梵音具(ぼんおんぐ)」と呼ばれる仏具の一種です。宗派によりますが、お経の始まり・終わり間際・終了時などに鳴らします。
「鈴」と漢字で表記するところもあれば、「りん」「おりん」と称するなど、地域・宗派により呼び方や表記がさまざまです。
天台宗や浄土真宗では「鏧(きん)」、浄土宗では「小鏧(しょうきん)」、他にも「鐘(かね)」と呼ぶ宗派もあります。
家庭では仏壇に置いてあることが多く、朝晩に手をあわせる際に使用します。
鈴(りん)の由来
鈴(りん)は、寺院にある鐘を模した仏具です。もともとは禅宗(※)でのみ使用されていましたが、現在はすべての宗派に用いられています。
一説には、インドのバラモン教で使用していた「カリンガ」と呼ばれる道具が変化していったものと言われています。インド→中国→日本と仏教が伝来した過程で仏教儀式に取り入れられるようになりました。
名前の由来は、お釈迦さまが亡くなった際に悲しんで鳴いた鳥が「リン」だった伝承説と、音色が風鈴に似ていたため「りん」となった説の2つが有力です。
(※)臨済宗・曹洞宗・黄檗宗(おうばくしゅう)が該当します。
鈴(りん)の役割
鈴(りん)の音色には、人々の邪念を払う役割があります。
また、音色は極楽浄土まで届くとされているため、音色に供養の気持ちをのせて故人へ送るためにも使用します。
他にも、読経の始まり・区切り・終わりの合図としても使用され、古くはこちらの使い方が一般的でした。
鈴(りん)の基本的な作法・鳴らし方
宗派によって異なりますが、鈴(りん)は2回鳴らします。初めは仏様へ向けて優しく鳴らし、2回目は信仰心を伝えるために少し強く音を出すのが基本です。
叩く部分は、鈴(りん)の内側・外側どちらでもよいとされていますが、外側を鳴らす型が多く見られます。
また、上から叩きつけるとあまり音が鳴らないため、ふり叩くようにするのがおすすめです。鈴(りん)を鳴らすためのりん棒は上・下どちらから持ってもかまいません。
外を叩いて鳴らす場合、胴部分やふちを叩くとより音色が澄み渡ります。音を消したい時はふちを上から優しく押さえると、スッと音色が止みます。
【宗派別】鈴(りん)を鳴らす回数
鈴(りん)を鳴らす回数は宗派によって異なります。また、同じ宗派でも回数や鳴らし方が異なる場合があるため、不安な方は寺院や同じ宗派の親戚に確認するとよいでしょう。
<真言宗>
2回鳴らします。1回目は優しく、2回目は少し強く音を出します。
<曹洞宗>
菩提寺によって3回と2回に別れます。また、内側・外側どちらを鳴らすかもお寺によって異なるため、分からない方は確認しておくとよいでしょう。
<浄土宗>
鈴(りん)は読経のときにのみ鳴らし、お寺参りなどの際は鳴らさないものとされています。また、読経時は僧侶によって8回鈴(りん)を鳴らす「八下(はちさげ)」があるのが特徴です。
<浄土真宗>
勤行のときにのみ鈴(りん)を鳴らし、合唱礼拝時には鳴らさないとされています。
仏壇の拝み方|鈴(りん)を鳴らすタイミングも解説
鈴(りん)を鳴らす機会はさまざまですが、多くは仏壇に手をあわせる際に使用します。
仏壇はお寺の縮小版とされており、お寺にお参りへ行くかわりに自宅で手をあわせるものです。自宅に本尊を飾り、側に位牌を置かせていただきます。
宗派によって細かなマナーの違いはあるものの、基本的な作法は変わりありません。流れは以下のとおりです。
- 1.遺族にお供え物を渡す(弔問の場合)
- 2.ろうそくに火をつける
- 3.線香を立てる
- 3.鈴(りん)を鳴らして合掌する
- 5.ろうそくの火を消す
仏壇を拝む流れをひとつずつ見ていきましょう。
1.遺族にお供え物を渡す(弔問の場合)
弔問の際にお供え物を用意している場合は、「こちらお供え物です。お供えください」と伝えて遺族へお渡しします。
遺族から「どうぞ供えてください」と言われたら、自分で仏壇へお供えしましょう。仏壇の前へ座った際に、お供え物の文字が読める向きにするのがマナーです。
その後、本尊に一礼をして手を合わせます。
2.ろうそくに火をつける
ろうそくに火をつけます。方法はマッチかライターでかまいません。どちらも用意されている場合は、マッチを利用しましょう。
あらかじめ火がついている場合は、そのままで問題はありません。
3.線香を立てる
ろうそくから線香に火をもらいます。マッチやライターで直接線香に火を点けるのはよくないため、必ずろうそくからもらいましょう。
火がついた線香は、手で扇ぎ消します。吹き消すのはマナー違反なため、注意が必要です。
線香は香炉に立てます。宗派によって立てる本数が異なり、なかには寝かせるところもあります。詳しくない場合は、自分の宗派に合わせても問題はありません。
4.鈴(りん)を鳴らして合掌する
鈴(りん)を鳴らして合掌します。故人の冥福を祈ります。お経を読めるのであれば、鈴を鳴らした後に読経し、礼拝した後に再度鈴を鳴らしましょう。
5.ろうそくの火を消す
その後にろうそくを手で仰いで消しましょう。このときも息で吹き消さないように注意が必要です。
ろうそく消しがある場合は、お借りして火を消します。あらかじめ火がついていた場合は、そのままにして問題はありません。
【Q&A】鈴に関してよくある質問
鈴に関してよくある質問をまとめました。内容は以下の通りです。
Q.手を合わせるだけなら鈴は鳴らさないほうが良いと聞きましたが、本当でしょうか?
Q.鳴らした後の鈴棒はどこに置けばよいのでしょうか?
ひとつずつ回答します。
Q.手を合わせるだけなら鈴は鳴らさないほうが良いと聞きましたが、本当でしょうか?
A.本当ですが、近年は合唱礼拝のみの場合でも鳴らすのが一般的になっています。
本来、鈴は読経のときにのみ鳴らすのが正しい使い方です。
しかし、作法を固く守っている家は少なくなっています。お寺さんに注意されたなどの理由がなければ、気にしなくても問題はありません。
作法も大切ですが、故人を想って祈ることの方が大切です。
Q.鳴らした後の鈴棒はどこに置けばよいのでしょうか?
A.元々あった場所に置いて問題はありません。ほとんどの家では「鈴の横にそのまま」「専用の鈴棒台の上」「りんの中に立てかけるように」いずれかの方法で置いています。
まとめ:鈴(りん)の作法は宗派によって異なる
鈴(りん)は、僧侶がお経を唱える際に使用する仏具です。音色には人々の邪念を払う役割や、供養の気持ちを極楽浄土へ届ける役割があります。
鈴(りん)の由来は寺院にある鐘を模したもので、宗派によって呼び名や鳴らす回数が異なります。基本的には2回鳴らすことがほとんどです。
故人を供養するため、鈴(りん)の存在は欠かせません。必ずしも各宗派に則った正しいマナーで鳴らす必要はありませんが、基本的な作法は覚えておいて損はないでしょう。