2025.11.28

遺影の置き場所の正解は?避けるべき場所・注意点・正しい飾り方を解説

「葬儀を終えたあと、遺影はどこへ置けばいいの?」
「遺影を置いてはいけない場所などある?」

葬儀後の遺影の取り扱いに悩む方はよくいらっしゃいます。

実は、四十九日を過ぎた後の遺影の置き場所に決まりはありません。

しかし昔からの慣習で置いてはいけない場所や、宗教の考え方から避けるべき場所は存在します。

本記事では、遺影を置くのにふさわしい場所・避けるべき場所・現代の住宅事情に合わせた飾り方について解説します。

 

<この記事でわかること>

・葬儀後の遺影の置き場所としてふわさしい場所
・遺影の置き場所として避けるべき場所
・遺影を置く場所がないときの対処方法

 

四十九日前後で遺影の置き場所は変わる

四十九日前後で遺影の置き場所は変わる

遺影を置く場所は、一般的に「四十九日まで」と「四十九日以降」で変わります。

  • 四十九日までは後飾り祭壇(中陰壇)
    に置く
  • 四十九日以降の置き場所は自由に決めてよい

置き場所が変わるのは、法律や宗教で定められているのではなく、慣習として引き継がれているためです。

そもそも遺影には宗教的な意味合いはありません。

そのため、飾る・飾らないか・いつまで飾るか、といったことも基本的には家族の自由です。

葬儀の際に掛けられていた黒いリボンも、このタイミングで外してしまって問題ありません。

 

四十九日までは後飾り祭壇(中陰壇)に置く

四十九日の法要が終わるまでは、遺骨や白木位牌と共に「後飾り祭壇」に遺影を飾るのが一般的な流れです。

後飾り祭壇は、多くの場合、葬儀社が用意してくれます。祭壇には二段や三段のものがあり、遺影は上段に置かれることがほとんどです。

ただし、遺影写真を中段に置く場合もあります。厳密な決まりはありませんので、中段でも問題ありません。

祭壇には遺影のほか、遺骨、白木位牌、香炉(こうろ)、燭台(しょくだい)、花立(はなたて)などを並べ、供花(くげ)や故人が好きだった食べ物などをお供えします。

【後飾り祭壇とは】

仏教の考え方では、故人の魂は亡くなってから四十九日間、この世とあの世の間をさまよう「中陰(ちゅういん)」と呼ばれる期間に入るとされています。この間、故人が無事に成仏できるようにと願い、供養を行うための場所が後飾り祭壇です。

 

四十九日以降の置き場所は自由に決めてよい

四十九日の法要をもって故人の魂は生まれ変わると考えられているため、役目を終えた後飾り祭壇は撤去します。

祭壇を撤去したあとの遺影の置き場所について決まりはありません。

故人を偲ぶために残しておくご家庭がほとんどですが、このタイミングで遺影を処分しても、マナー違反にはあたりません。

残しておく場合は、仏壇の近くや仏間に置くのが一般的ですが、現代の住宅事情では仏間がない家も増えています。

遺影は故人を身近に感じ、偲ぶためのもののため、仏間や仏壇の近くに限定する必要はありません。

家族が集まるリビングや故人の部屋、寝室など、ご家族が手を合わせやすい場所に置くのがよいでしょう。

 

遺影を置くのにふさわしい場所

遺影を置くのにふさわしい場所

遺影の置き場所に厳格なルールはありません。

しかし、古くからの慣習として「ふさわしい」とされる場所や、現代の生活スタイルに合わせて選ばれる場所があります。

  • 長押や鴨居の上
  • 仏間の床の間
  • 仏壇の近く
  • リビングや寝室

それぞれの代表例を紹介します。

 

仏間の鴨居や長押の上

和室で昔から選ばれてきた場所が「鴨居や長押の上」です。

鴨居は、ふすまや障子といった引き戸の上部にある横木(枠)のことを指し、長押は和室を囲う化粧部材(装飾)を指します。

鴨居の上のような高い場所に遺影を飾るのには「故人が空から家族を見守ってくれる」という意味合いが込められています。

鴨居の上に直接置くか、専用の金具(遺影掛け)などを使って壁に吊るすようにして飾ります。

すでに他のご先祖様の遺影が鴨居の上に飾られている場合は、向かって一番右側を最も古いご先祖様とし、亡くなった順に左側へと連ねていくのが一般的です。

 

仏壇の近く

仏壇だけの部屋がない場合には、仏壇の近くも遺影を置く場所として適しています。

仏壇の近くであれば、毎日仏壇に手を合わせるたびに遺影も自然と目に入ります。

日々、故人を思い出し偲ぶことができるため、遺影の置き場所として最適です。

仏壇のすぐ横に小さな棚や小台、小さなテーブルなどを置き、その上に飾るのがよいでしょう。

ただし、後ほど詳しく説明しますが、仏壇の「内部」や「真上」は避けるべきとされています。あくまで「仏壇の周辺」が望ましいです。

 

仏間の床の間

鴨居(長押)の上や仏壇の近くと同じく、昔ながらの遺影の置き場所とされているのが、和室の床の間です。

床の間は和室の中で一段高くなっており、掛け軸や花瓶などが飾られる特別なスペースです。

もともとは身分の高い人が座る場所とされており、部屋で最も格式の高い場所とされています。

故人への敬意を示す場所として、床の間は遺影を飾るのにふさわしい場所です。

床の間に置く場合は、小さな台座などを用意して、その上に飾るとより丁寧な印象になります。

 

リビングや寝室

リビングや寝室に遺影を置くことも全く問題ありません。

最近の住宅では和室や仏間がないことも多いため、リビングや寝室に置くのも一般的となっています。

故人を身近に感じられる場所や、家族が自然と集まる場所、日常的に手を合わせやすい場所など、置き場所は自由に決められます。

リビングであれば家族全員が毎日顔を合わせられますし、寝室であれば故人と静かに対話する時間を持てます。

ご自身の生活スタイルに合わせて、故人を偲びやすい場所を選んでください。

なお、近代の住宅事情に合った遺影の飾り方については、以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

【関連記事】

遺影を飾るのに決まりはない!おしゃれなフレームや配置の方法を紹介

 

遺影の置くのを避けるべき場所

遺影の置くのを避けるべき場所

遺影を置く場所に決まりはないと解説してきましたが、昔からの慣習や宗教の考え方から避けるべきとされている場所はあります。

  • 仏壇の中・真上・真正面
  • 神棚より高い位置
  • 直射日光が当たる場所
  • 湿気の多い場所
  • ほこりが溜まりやすい場所
  • 直接床に接する場所

知らずにマナー違反とならないよう、避けるべき場所を知っておきましょう。

 

仏壇の中・真上・真正面

仏壇があるご家庭の場合は、以下の場所に置かないようにしましょう。

避けるべき場所 理由
仏壇の中 お仏壇の内部は極楽浄土を表現しているため、生前の姿である遺影を入れるのはふさわしくない
仏壇の真上 ご本尊を見下ろす形になるため、失礼にあたるとされている
仏壇の真正面 遺影に手をあわせる際、ご本尊(仏壇)にお尻をむけてしまうことになるため

ただし、宗派によって一番下の段の中央を避けた場所に置いてもよいとされることがあります。

どうしても仏壇の近くにおきたい場合、または判断に迷う場合は、菩提寺の僧侶に相談するのがおすすめです。

 

神棚より高い位置

ご自宅に神様をお祀りする「神棚」がある場合、遺影を神棚よりも高い位置に飾るのは避けましょう。

日本では、昔から神道を重んじる習慣があるためです。

そのため、神棚より低い棚の上や、低い位置の壁面などに飾るように配置を調整してください。

 

直射日光が当たる場所

直射日光が当たる場所は、遺影の写真をきれいな状態で長く保つためにも避けるべきとされています。

写真は紫外線に弱く、日光が当たり続けると色が薄くなったり、写真自体が劣化したりするのが早まってしまいます。

窓際など日差しが直接入り込む場所は避けて置きましょう。

 

湿気の多い場所

湿気が多い場所も写真の劣化につながるため、遺影を置く場所としてふさわしくありません。

湿気が多いと、写真にカビが発生してしまう恐れがあります。

浴室やキッチンの水回りなどの近くは避け、できるだけ風通しの良い場所を選ぶのが望ましいです。

 

ほこりが溜まりやすい場所

遺影を清潔に保つ観点から、ほこりが溜まりやすい場所も避けたほうがよいでしょう。

大切な故人の遺影にほこりが積もったままになっていると、故人への敬意を欠いてしまうことにもなりかねません。

通気性の悪い場所などは避け、こまめに掃除ができる場所に置くことをおすすめします。

なお、風水の観点からも、ほこりが溜まる場所はあまり良くないとされています。

 

直接床に接する場所

遺影を床に直接置くことも、敬意を欠くため避けるべきです。

厳密に言うと絶対的なタブーではありませんが、故人を粗末に扱っているように感じさせてしまいます。

遺影は葬儀が終わった後も、家族が故人を偲び、手を合わせる供養の対象となる大切なものです。

できるだけ敬意を払い、床から一段高い台や棚の上に置くか、壁掛けにしましょう。

 

遺影を置く際に配慮するべきポイント

遺影を置く際に配慮するべきポイント

遺影を置く際には、安全面や宗派に関連して気をつけるべきポイントがいくつかあります。

  • 高い場所に置く際は固定する
  • 宗派別の慣習を調べておく

遺影を置く前に確認しておきましょう。

 

高い場所に置く際は固定する

鴨居の上や背の高い収納の上など、高い場所に遺影を飾る場合は、転倒や転落の防止策を講じましょう。

落下してしまった場合、大切な写真や額縁が破損してしまうだけでなく、家族に当たって怪我をさせてしまう危険性があるためです。

特に、地震などの災害時には、高い場所に置かれた物は凶器になりかねません。

壁に掛ける場合は、額縁の重さに耐えられるフックやネジを使い、しっかりと固定してください。

棚の上に置く場合も、単に立てかけるだけでなく、滑り止めシートを下に敷いたり、耐震ジェルで固定したりするなどの対策がおすすめです。

 

宗派別の慣習を調べておく

遺影の置き方に厳格な決まりはありませんが、地域や宗派によっては独自の慣習が存在します。

例えば、曹洞宗では、仏壇や遺影を南向きに置くのがよいとされる場合があります。

また、真言宗では、拝む方向の先に総本山がある方角がよいとするお寺もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

しきたりを気にする親族がいらっしゃる場合は、念のため菩提寺の僧侶や、お世話になった葬儀社に相談してみると安心です。

前もって聞いておけば、あとになって親族から「向きが違う」「置き場所が良くない」といったトラブルになるのを防げます。

 

遺影の置き場所に困った場合の対処法

遺影の置き場所に困った場合の対処法

住宅事情やインテリアとの兼ね合いで、遺影の置き場所に困ってしまう際の対処方法を紹介します。

  • サイズを小さくする
  • デジタル化する
  • アルバムにしまう
  • お焚き上げしてもらう

ご自身のライフスタイルに合わせて選択してみてください。

 

サイズを小さくする

遺影を置くスペースがない場合は、写真を小さなサイズに作り直す方法もあります。

葬儀で使われる標準的な遺影は「四つ切りサイズ」や「A4サイズ」などが多く、一般家庭のリビングに飾るには大きすぎて場所を取ってしまいます。

写真店などに依頼して「ハガキサイズ」や「2L判」などのコンパクトな大きさに焼き増ししてもらうのがおすすめです。

小さくすれば、仏間がない家でも、リビングの棚や寝室のサイドテーブルなどに写真立てを使って気軽に飾ることができます。

葬儀の際に、焼香台用として小さな遺影を受け取っている場合は、そちらをそのまま飾るのも良いでしょう。

なお、元の大きな写真は、遺影自体に宗教的な意味合いはないため、ご自身で処分しても問題ありません。

 

デジタル化する

物理的なスペースを取りたくない場合は、遺影をデータ化して「デジタル保存」する方法があります。

写真をスキャンしてスマートフォンやパソコンに取り込んでおけば、劣化や色あせの心配がありません。

デジタルフォトフレームを使えば、複数の写真をスライドショーとして流すこともでき、より生き生きとした故人の姿を感じられます。

普段はデータとして保存しておき、法事などの儀式で遺影が必要になったタイミングだけ印刷して持参するといった使い分けも可能です。

場所を取らず、かつ管理もしやすい現代的な供養の形です。

 

アルバムにしまう

部屋に飾る場所がない、あるいはインテリアに馴染まないといった場合は、アルバムにしまっておくという選択肢もあります。

普段はアルバムの中や仏壇の引き出しなどに大切に保管しておき、命日・法要・お盆など、節目となるタイミングで取り出して使用する方法でも問題ありません。

 

お焚き上げしてもらう

元の大きな遺影を処分したいけれど「ゴミとして捨てるのは忍びない」「バチが当たりそうで怖い」と感じる方はお焚き上げを利用するのがおすすめです。

感謝を込めて丁寧に処分してもらうことで、ご遺族の心情的な負担を減らせます。

お焚き上げは、お近くの寺社や、郵送で受け付けている専門業者に依頼可能です。

費用の目安は、寺社の場合で3,000円程度、専門業者の場合で1枚あたり1,500円〜3,000円程度が一般的です。

『コープの家族葬』で葬儀を取り行っていただいた場合、1枚2,000円でお焚き上げ供養を承っています。

 

【Q&A】遺影の置き場所に関してよくある質問

【Q&A】遺影の置き場所に関してよくある質問

遺影の置き場所に関してよくある質問をまとめました。

  • Q.風水の観点から避けるべき場所はありますか?
  • Q.遺影はずっと置いておいたほうがいいですか?
  • Q.遺影は、位牌・遺骨と同じ場所におくべきですか?

ひとつずつ回答します。

 

Q.風水の観点から避けるべき場所はありますか?

A.風水が気になる場合は、南向きがよいとされています。

ただし、日光が強い方角でもあるため、窓がある場合は写真が劣化する可能性があります。

 

Q.遺影はずっと置いておいたほうがいいですか?

A.遺影をいつまで飾っておくかについては、ご家族の自由です。

「三回忌までは飾る」「自分たちが元気なうちは飾る」と決めてずっと置いておいても構いません。

四十九日や一周忌などの法要を区切りとして片付けてもよいでしょう。

遺影に宗教的な意味はないため、「片付ける=故人を忘れる・冷たい」ということにはなりません。

 

Q.遺影は、位牌・遺骨と同じ場所におくべきですか?

A. 時期によって異なります。

葬儀から四十九日の法要が終わるまでの期間は、後飾り祭壇に飾るのが一般的です。

四十九日を過ぎると、位牌(本位牌)は仏壇の中に安置します。遺骨は、お墓や納骨堂へ納めるのが一般的です。

遺影は、仏壇の中には入れられないため、仏壇の外や別の部屋などに飾ることになります。

仏壇がないご家庭の場合は、リビングの一角などに供養スペースを作り、そこに遺影や位牌をまとめて並べても問題ありません。

ご家族が日々手を合わせやすい形を選んでください。

 

まとめ:遺影を置く場所に決まりはなく故人を偲ぶことができればどこでも問題ない

まとめ

遺影の置き場所には法律や宗教上の決まりはないため、家族が無理なく手を合わせられる場所で問題ありません。

ただし、仏壇の中や真上や神棚より高い位置、直射日光が当たる場所など、故人への敬意や写真の保護のために避けるべき慣習的な場所はあります。

置き場所に困った場合は、写真を小さくする・デジタル化してデータとして残す・お焚き上げで供養してもらうなど、現代の住宅事情に合わせた対処法を検討してみてください。

 

『コープの家族葬』では、葬儀後の仏事や供養についてのアフターサポートも実施しています。疑問や不安がある場合は、お気軽にお問い合わせください。
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