葬儀のあとには、年忌法要を執り行います。最初に大きく執り行うのが四十九日法要です。
しかし、家族葬で葬儀を執り行った場合、以下のように悩む方もいらっしゃるでしょう。
「準備内容は一般葬の場合と同じでいいのか」
「四十九日法要はどこまで人を呼んだらいいのか」
「家族葬後の四十九日法要独自のマナーはある?」
そこで、本記事では家族葬における四十九日法要の準備内容や法要の相場・一般的な参列者の面々・マナーについて解説します。
四十九日法要を控えている方は、参考にしてみてください。
<この記事でわかること>
- 家族葬における四十九日法要の準備内容
- 四十九日法要の予算
- 家族葬後の四十九日法要の参列者
- 四十九日法要のマナー
四十九日法要とは
四十九日法要とは、逝去の日を1日目として49日目に行う宗教儀式です。仏教においては、故人の生まれ変わり先が六道(※)のいずれかに決まる大切な日とされています。
なお、49日目の数え方は地域によって異なり、亡くなる前日を1日目としているところもあります。地域の慣習に詳しくない方は、事前に確認しましょう。
※六道とは
生前の行いによって生まれ変わる先とされている概念 天道(てんどう)・人間道(にんげんどう)・修羅道(しゅらどう)・畜生道(ちくしょうどう)・餓鬼道(がきどう)・地獄道(じごくどう)がある。
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日程の決め方
四十九日法要の日程は、お寺さんや参列者の都合を確認して決めるのが一般的です。
可能であれば49日目に合わせたほうが良いですが、必ずしも49日目でなくてもかまいません。
ただし、49日目以降に法要を執り行ってはいけないとされています。故人の魂が迷ってしまうといわれているためです。前倒しする分には問題ありません。
なお、浄土真宗は宗派の教えにより49日以降に執り行っても問題はありません。
一般葬と家族葬の四十九日法要の違い
一般葬・家族葬、いずれであっても四十九日法要の内容は変わりありません。
ただし、家族葬の場合は四十九日法要も、家族や親族のみで執り行う方がほとんどです。
「家族葬で親族にも参列してもらったが、法要は家族だけで行いたい」という場合は、事前に案内しておく必要があります。
家族葬に参列した親族が、「葬儀に参列したから、当然四十九日も参列する」と思っている可能性があるためです。
家族葬後の四十九日法要で準備すること
四十九日法要を執り行うまでには、以下の準備をしておきましょう。
- 会場の用意
- 本位牌の用意
- 参列者への連絡
- 会食会場の用意・食事の予約
- 香典返しの用意
- 御霊供膳(おりくぜん・おりょうぐぜん)の用意
- 埋葬許可証を用意
なお、上記の準備は1ヶ月前から始めるのが理想です。
会場の用意
四十九日法要には会場が必要です。選択肢として、自宅・斎場・会館・ホテル・寺院などがあります。家族のみで執り行う場合は、自宅を選択することがほとんどです。
会館などで行う場合は、空き状況の関係もあるため早めに手配しておきましょう。1ヶ月前までに予約しておくのが理想です。
まれに寺院で四十九日法要を執り行う家もあります。寺院で法要を行い、法要後に寺院のお墓に納骨するのであれば、移動距離が少なくて済みます。
本位牌の用意
位牌は、四十九日法要の際に白木位牌から本位牌に変えるのが一般的です。本位牌は、仏具店や家族葬をお願いした葬儀社等に依頼できます。
本位牌の用意には2週間ほどみておくとよいでしょう。四十九日法要に間に合うよう、余裕を持った準備が大切です。
本位牌には、1名につき1つの位牌を用意する「板位牌」、1つの位牌に夫婦の戒名を刻む「夫婦位牌」、数名分の戒名を1つの位牌に祀る「繰出位牌」があります。
なお、浄土真宗では本来、本位牌ではなく過去帳を用いますが、中には本位牌を準備する方もいます。
参列者への連絡
四十九日法要に呼ぶ範囲は、喪主や遺族が決めてしまって問題はありません。近年は、参列者を呼ばずに家族だけで四十九日法要を行う家も増えています。
そのため、家族のみで執り行っても非常識とは判断されません。
家族葬に参列していただいた親戚・故人と親しかった方がいる場合は、前もって連絡を入れておきましょう。
香典やお供物を辞退する場合は、併せて伝えておきます。連絡方法は、電話が一般的です。気心の知れた関係性であれば、ラインやメールでもかまいません。
会食会場の用意・食事の予約
四十九日法要のあとに行われる会食の用意も必要です。会場は、上記「会場の用意」でもご紹介したように、自宅・斎場・会館・ホテル・寺院などが一般的です。
料亭などに食事の予約をする際は、四十九日法要用の会食であると伝えましょう。伝え漏れた場合、えびや紅白物などのめでたい料理が出る可能性があるためです。
香典返しの用意
葬儀後から四十九日法要までに香典をいただいた場合は、香典返しの用意も必要です。いただいた額の半額〜3分の1程度の品を用意しましょう。
水引は白黒の結び切りにし、表書きは「志」または「粗供養」とします。西日本では表書きを「満中陰志」とする場合もあります。
御霊供膳(おりくぜん・おりょうぐぜん)の用意
御霊供膳(おりくぜん・おりょうぐぜん)とは、法要やお盆の際に用意する故人のための食事です。
お椀・汁椀・平椀・壷椀・高杯の5種類を用意します。それぞれの器に入れる料理や配置が決まっています。
近年はネットで調べると簡単に出てくるため、分からない方は四十九日法要前に検索してみてもよいでしょう。
埋葬許可証を用意
四十九日法要に合わせて納骨する場合は、埋葬許可証が必要です。埋葬許可証は、ほとんどの場合、火葬後に骨壷と一緒に返却されます。
無くしてしまった場合は役所で再発行する必要があるため、早めに確認しておきましょう。
四十九日法要に必要な費用
四十九日法要には、およそ3〜30万円の費用がかかるとされています。費用項目の内訳は以下のとおりです。
- 会場料
- お布施
- 会食費
- 引き物代
- お墓参りのための費用
- 納骨にかかる費用
それぞれの内訳について解説します。
会場料
四十九日法要を、斎場・会館・ホテルなどで執り行う場合は、会場料がかかります。5万円ほどが相場です。一般的に、広い会場を借りるほど費用は大きくなります。
なお、自宅で執り行う場合、会場料は発生しません。
お布施の費用
お経を読んでいただいた僧侶・寺院へのお礼として用意します。相場は3万円〜20万円ほどです。寺院との関係性や宗派によって幅があります。
なお、僧侶の交通費とする「御車代」や、僧侶が会食を辞退した場合の「御膳料」として5千円〜1万円の追加が必要な場合もあります。
また、四十九日法要と合わせて納骨する際は、さらに1万円〜3万円を包むのがマナーです。
新たにお墓を建立する場合は、開眼法要も必要なため、さらに1万円程度入れておくとよいでしょう。
会食費
四十九日法要後に行われる会食の費用は、1人当たり5千円が目安です。料理のグレードによっては3千円や1万円の場合もあります。
ホテルで法要を執り行い、そのまま会食する場合は、もう少し高くなる傾向です。
自宅で執り行う際は、ほとんどの家がお弁当を用意します。
引き物代
四十九日法要へ参列していただいた方へのお礼として引き物を用意します。内容は、お菓子や洗剤が一般的です。予算は1人2〜5千円を見ておくとよいでしょう。
お墓参りのための費用
法要後にお墓参りをする場合は、お供物・線香・ろうそくなどの準備費用もかかります。費用は1〜5千円ほどです。
なお、墓地によっては水を汲むところが無かったり、桶・柄杓が無かったりするため、事前に確認しておくと安心です。
納骨にかかる費用
四十九日法要に併せて納骨する場合は、石屋さんに依頼し、お墓を開いて納骨しなければなりません。墓石へ戒名を掘る必要もあります。
費用は、戒名の彫刻と納骨を併せて7〜10万円ほどです。
家族・身内のみで四十九日法要を執り行う際の服装マナー
家族や身内のみで執り行う四十九日法要であっても、服装への配慮は必要です。本章では、「喪主・遺族」「参列者」の立場ごとに、適切な服装マナーを解説します。
なお、平服と指定された場合は、どちらの立場であっても喪服を着用する必要はありません。男女ともに、暗いトーンでシンプルなデザインの服を着用しましょう。
ただし、透け感・光沢のある生地は場にふさわしくありません。また、四十九日法要でも数珠は必須です。
喪主・遺族の服装のマナー
喪主や遺族は、ブラックスーツと呼称される準喪服を着用します。男女別のマナーは以下のとおりです。
<男性>
・白ワイシャツ、黒ネクタイ
・靴・靴下ベルトは黒
・結婚指輪以外のアクセサリーは外す
・髪の毛は清潔感を意識してセットする
<女性>
・和装、洋装どちらでも構わない。スーツの際は、ブラックフォーマルを着用
・ストッキングは黒で、デニールが厚すぎないものを履く
・パンプス・バッグは黒、殺生を連想させる革・ファー素材は避ける
(男性の革ベルトは問題ない)
・結婚指輪以外のアクセサリーは外す
パールのネックレス・イヤリングは「涙」を意味するため着用可
ただし、2連のものは「不幸を繰り返す」という意味があるため厳禁
・ナチュラルメイクを意識する
<子ども>
・制服を着用
なければ落ち着いた色合いの服を用意する。
参列者の服装のマナー
四十九日法要において、参列者は必ずしも喪服を着用する必要はありません。以下の点に配慮しつつ、節度のある装いを心がけましょう。
<男性>
・黒を基調としたシンプルな服
・ベルト・靴・靴下・ネクタイは黒、シャツは白
・結婚指輪以外のアクセサリーは外す
<女性>
・黒や濃いグレーのシンプルで落ち着いた服装
・パンプス・カバンは殺生を連想させる革・スエード生地以外のもの選択
・結婚指輪以外のアクセサリーは外す
<子ども>
・制服を着用
なければ落ち着いた色合いの服を用意する。
参列者は、喪主や遺族よりも服の格式が高くなってしまわないよう注意しましょう。
四十九日法要の流れ
家族葬後の四十九日法要も、流れは変わりありません。以下の順番で進んでいくのが一般的です。
- 1.開式
- 2.読経・焼香
- 3.法話
- 4.お墓参り
それぞれの流れを解説します。
1.開式
会場に僧侶が到着した際、「本日はよろしくお願いします」など、一言あいさつを述べましょう。
僧侶を仏壇の前に案内し、僧侶の準備が完了したら四十九日法要が開式されます。
2.読経・焼香
僧侶による読経が行われ、その間に参列者で焼香をします。四十九日法要の場合、焼香はタイミングを見て僧侶が用意してくれます。
焼香の順番は「遺族→親族→参列者」が一般的です。ただし、地域によって多少違いたあるため、その土地の慣習にしたがって行いましょう。
細かな作法は宗派によって異なります。故人の宗派がわからない場合は、自分の宗派に合わせて問題ありません。
どのような作法でもいいので、故人を心から思って行いましょう。
3.法話
読経後は僧侶による法話に移ります。法話とは、仏教の教義を説くことです。
故人と僧侶との付き合いが長ければ、思い出話などをする場合もあります。時間はおよそ5〜10分ほどです。
4.お墓参り
四十九日法要において、お墓参りは必須ではありません。しない家もあります。
お墓参りできる環境であれば、法要後に家族でお墓を掃除し、手を合わせてあげましょう。
5.会食・閉式
四十九日法要のあとは会食に移ります。昔は僧侶もよばれていましたが、近年は辞退するケースがほとんどです。
また、会食は必須でないため、省略しても問題はありません。お弁当を用意し、持ち帰る場合もあります。
最後に参列者へ返礼品を渡して、四十九日法要は閉式です。
四十九日法要を終えたあとの法要
仏教には、四十九日法要以降も多くの法要があります。法要のタイミングは以下のとおりで、全て故人の冥福を祈るための大切な儀式です。
法要の名前 | 執り行うタイミング |
---|---|
百箇日 | 100日目 |
一周忌 | 1年目 |
三回忌 | 2年目 |
七回忌 | 6年目 |
十三回忌 | 12年目 |
十七回忌 | 16年目 |
二十三回忌 | 22年目 |
二十七回忌 | 26年目 |
三十三回忌 | 32年目 |
三十七回忌 | 36年目 |
五十回忌 | 49年目 |
百回忌 | 99年目 |
近年は、三十三回忌で弔い上げとする家がほとんどです。
【Q&A】家族葬後の四十九日法要に関してよくある質問
家族葬後の四十九日法要に関してよくある質問をまとめました。内容は以下のとおりです。
Q.家族・身内のみの四十九日法要でも香典は用意したほうがいい?
Q.お供物は用意したほうがいい? Q.四十九日法要をしないという選択肢はある? Q.四十九日法要に遺影は必要? |
ひとつずつ回答します。
Q.家族・身内のみの四十九日法要でも香典は用意したほうがいい?
A.同居家族のみの場合は用意しなくても問題はありません。親族として参列する際は用意しておきましょう。
ただし、遺族が香典を辞退している場合は、用意しないのがマナーです。香典を辞退するかは、事前に伝えられる場合と、当日に伝えられる場合があります。
香典の相場は故人と血縁関係によって異なり、血縁関係の濃い場合は1〜5万円、その他の方は5千円〜1万円程です。
表書きは「御仏前」と書きます。間違っても「御霊前」と書かないよう注意しましょう。
Q.お供物は用意したほうがいい?
A.必須ではありませんが、用意する方が多い傾向です。
お供物は法要後に遺族で分けて持ち帰るため、個包装で日持ちする物をえらびましょう。
高額すぎると遺族が対応に困ってしまうため、予算は3千円程度が目安です。
なお、用意する・しないの慣習は地域で異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
Q.四十九日法要をしないという選択肢はある?
A.四十九日法要を執り行うかは遺族側に決定権があるものの、「しない」とする家は少数派です。ほとんどの家は規模を縮小しても執り行います。
菩提寺がある家の場合は、四十九日法要をしないことで関係性が悪くなる可能性もあります。
やむをえない事情で「しない」と決めた場合でも、お供物をそなえるなどの供養はしてあげましょう。
Q.四十九日法要に遺影は必要?
A.あった方がよいです。家族葬の際に祭壇へ飾った大きな遺影写真でなくてよいので、一般的な写真立てに入る程度の遺影を用意し、故人を思い出してあげましょう。
まとめ:家族葬後の四十九日法要も準備内容は一般的なものと変わらない
小規模な家族葬であっても、四十九日法要の準備内容は一般葬と変わりありません。本位牌・会食・御霊供膳などを準備しましょう。
参列者や僧侶の都合なども考慮しなければならないため、1ヶ月前から用意しておくと安心です。
四十九日法要は、仏教において故人の生まれ変わる先が決まる大切な日とされています。
故人が無事に良い世界へ生まれ変われるよう、しっかりと準備し、心から手を合わせてお祈りをしましょう。
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