「葬儀で香典をお断りしても問題はない?」
「辞退を伝えるタイミングや、言い方を知りたい]
「辞退した場合のデメリットはある?」
近年、香典を辞退される方が増えています。割合としては圧倒的に少ないものの、過去と比較して増加傾向です。
香典の辞退には、メリットがある一方、デメリットも存在します。
本記事では、香典を辞退する人が増えている理由・伝え方・メリット・デメリットを解説します。
香典の辞退を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
<この記事でわかること> ・香典を辞退する人が増えている理由 ・香典を辞退するメリット・デメリット ・香典の辞退を伝えるタイミング・文例 ・どうしても受け取ってと言われた時の対処方法 ・香典辞退の葬儀に参列する際のマナー |
葬儀の香典を辞退する人が増えている理由
近年、葬儀の際に香典を辞退する人が増えています。理由は以下のとおりです。
- 理由①:受付や香典返しの負担を減らしたい
- 理由②:参列者に金銭的な負担をかけたくない
- 理由③:小規模な葬儀でゆっくりお別れをしたい
辞退される葬儀の数には地域差があり、北海道ではいまだ香典を受け取る葬儀が一般的です。
理由①:受付や香典返しの負担を減らしたい
香典を辞退する理由のひとつが、ご遺族側の負担軽減です。
香典を受け取る場合、受付の準備・参列者への対応・香典返しの用意など、多くの手間がかかります。
北海道では当日返しをもって香典返しとしていますが、いただいた香典が高額な場合は、別途お返しが必要となる場合がほとんどです。
その場合、品物の手配・お礼状の用意・配送(または手渡し)などを行わなければなりません。
当日返しとは
「即日返し」ともいい、葬儀当日に香典返しとしてお渡しする品物をいいます。 |
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理由②:参列者に金銭的な負担をかけたくない
参列者にお金を負担してもらうのが心苦しいという理由から、香典を辞退する方もいらっしゃいます。
本来、香典には決められた金額はなく、参列者が自分の経済状況に合わせて設定できます。
とはいえ、故人との関係性による相場は存在し、近親者になるほど数万円〜数十万円と高額になる傾向です。
遠方に住んでいる親族や友人であれば、参列するための交通費も発生します。
このような金銭的負担に引け目を感じ、香典を辞退する方が増えている傾向です。
理由③:小規模な葬儀でゆっくりお別れをしたい
近年「参列者の対応に追われずに、ゆっくり葬儀を執り行いたい」というニーズが高まり、家族葬を選ぶ人が増えています。
家族葬とは、親しい親族や友人だけで葬送する形式で、従来の葬儀よりも規模が小さく、費用が抑えられるのが特徴です。
そのため、家族葬では香典による経済的な援助は必須ではありません。
かえって、受付などの手間を省けるため、故人とゆっくりと向き合い、別れを告げる時間を確保できます。
小規模な葬儀で故人と静かに別れを告げたい、という思いから、香典を辞退する人が増えている傾向です。
香典を辞退するメリット
香典を辞退した場合、ご遺族と参列者それぞれのメリットが生まれます。
- 参列者への対応の軽減
- 香典返しの準備の省略
香典を辞退すれば参列者へ対応する負担が軽減されます。
参列者へ対応する時間を、故人とのお別れに割けるため、ゆっくり最後の時間を過ごせるのがメリットです。
また、香典返しの手間が省けるのもメリットのひとつです。香典返しとは、いただいた香典への感謝を表すために用意する品物をいいます。
香典返しは半額〜3分の1程度を送るとされているため、金額に応じた品物の用意をする必要があります。
ご遺族にとっては、正直に言うと煩わしい手続きのひとつです。北海道では当日返し(即日返し)をもって済ませる場合が多いですが、それでも手間は発生します。
その点、香典を辞退すれば、香典返しの準備をする必要はなくなります。
香典を辞退するデメリット
香典の辞退には、葬儀費用の自己負担額が増えるデメリットがあります。
香典は葬儀費用の補填として使われるケースが多いため、辞退した場合、葬儀費用はすべてご遺族の持ち出しとなります。
近年は葬儀の小規模化にともない費用も低価格となっている傾向ですが、それでもまとまった金額は必要です。
香典を辞退する際は、葬儀費用の総額と香典による補填額を概算し、本当に辞退するか検討するのがおすすめです。
コープの家族葬では、葬儀費用や香典についての相談に対応しています。相談料は無料で、回数に制限はありません。
葬儀後の手続きについても万全の体制でサポートしているため、不安がある方は、気軽にお問い合わせください。 |
香典辞退を伝えるタイミング・例文
香典を辞退する際は、以下のタイミングで意向を伝えるのが一般的です。
- 訃報連絡で伝える
- 案内状にて伝える
- 当日に受付で伝える
- 葬儀後に伝える
以降では、各タイミングにおける伝え方の例文をご紹介します。
訃報連絡で伝える
訃報連絡をする際、併せて香典辞退の旨を伝える場合があります。
なお、香典の辞退を伝える際は「なぜ辞退するのか」という理由を添えてあげると、参列者の理解が深まります。
以下の表は、香典を辞退する際の例文です。必ずそのように伝える必要はないため、適宜言葉を変えながらご活用ください。
親族に伝える文例 | |
---|---|
電話 | 葬儀の準備で精一杯なので、お気持ちはありがたいのですが、香典はお断りすることにしました。 |
メール | 故人の生前の意向で香典は受け取らない形で考えていますので、ご用意いただかなくて結構です。どうかご了承ください。 |
友人や知人に伝える文例 | |
電話 | 母が生前言っておりました「周りの人に負担をかけたくない」という意向に沿って、香典は辞退しようと考えています。 |
メール | 故人の遺志により、遺族・近親者のみの家族葬とさせていただきます。 |
会社関係者に伝える文例 | |
電話 | 勝手ではありますが、御香典などのご厚志につきましては、辞退させていただきます。 |
メール | なお、一般参列・御香典・弔電・御供物などのお気遣いはご辞退させていただきます。恐れ入りますが何卒よろしくお願い申し上げます。 |
会社の場合、直属の上司に報告するのが一般的です。
また、社内で訃報の手続きが制度化されている場合もあるため、余裕があれば事前に確認しておくとよいでしょう。
案内状にて伝える
案内状を用いて香典辞退の意向を伝える方法もあります。
文例は、以下のとおりです。
ただし、北海道では案内状を使用しないため、この方法は一般的ではありません。
当日に受付で伝える
葬儀当日に、受付で香典辞退の意向を伝える場合もあります。
受付係から伝えてもらうか、葬儀社に看板を設置してもらうのが一般的です。
当日に受付で伝える場合の文例は、以下のとおりです。
【当日の受付にて伝える場合】
・生前の故人の意向で、香典は受け取らないことにしております。事前にお伝えできておらず申し訳ございません。ご厚情に深く感謝いたします。 ・故人の遺志により、御香典は辞退させていただきます。お気持ちだけありがたく頂戴いたします。 |
香典の辞退を知らずに持参する方が多くなる可能性があるため、おわびの言葉を交えつつお断りしましょう。
葬儀後に伝える
葬儀後に伝えるのは、家族葬のような小規模葬を執り行った場合に多い方法です。
葬儀終了後、訃報と共に香典辞退を伝えます。
近年は、メールで葬儀の終了と訃報を伝えるケースも増えています。
メールでの連絡については、以下の記事を参考にしてみてください。
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香典を辞退しても「受け取って欲しい」と言われたとき
香典の受け取りを希望された場合の対応は、以下のとおりです。
- 親族や個人の場合は丁重にお断りする
- 会社からの場合は受け取って問題はない
ひとつずつ解説します。
親族や個人の場合は丁重にお断りする
参列者の中には「渡さないわけにはいかないから」と香典の受け取りを希望する方もいらっしゃいます。
この場合、心からの感謝の気持ちとともに、丁重にお断りするのが大切です。
それでも相手が強く香典を渡そうとした際は、受け取っても問題ありません。
ただし、他の参列者がいないところで受け取りましょう。
ご遺族の意思にしたがって香典を持参していない参列者の立場や心持ちが悪くなる可能性があるためです。
会社からの場合は受け取って問題はない
会社の名前で包まれている香典は、受け取って問題はありません。
会社から支払われる香典は「慶弔金」や「死亡弔慰金」といった福利厚生の一環として支払われる場合が多いためです。
また、会社名の香典に対して、香典返しは不要です。
【参列者】葬儀の香典を辞退された際のマナー
参列者は、基本的にご遺族の意思を尊重するのがマナーです。
香典を辞退している場合、無理に渡すのは避けましょう。ご自身が親しい親族であっても同様です。
香典の辞退には理由があり、無理に渡してしまうと思わぬ手間をかけてしまう可能性があります。
また、香典を辞退した理由を尋ねるのも控えましょう。
とはいえ、万が一のために香典を準備しておくと安心です。
万が一とは、参列者の1人が香典を渡したのを皮切りに、続々と香典を渡す人が増えてしまう状況です。
香典以外で弔意を伝えたい場合
香典以外にも、ご遺族にお悔やみを伝える方法は存在します。代表的なのが、以下の4つです。
- 葬儀当日に弔電を送る
- 葬儀当日に供花を送る
- 葬儀当日に供物を送る
- 葬儀後に弔問する
いずれの方法でも、前もってご遺族へ許可を取るのが大切です。
確認した際に「お気持ちだけで十分です」と言われた場合は、それ以上の申し出は控えましょう。
お盆やお彼岸など、折りを見てお仏壇にお供えするものなどを用意するという方法もあります。
葬儀当日に弔電を送る
葬儀に参列できない場合、弔電によって弔意や哀悼の意を示せます。
弔電は会場に直接送るのが一般的で、電話やインターネットで申し込みが可能です。
費用は2〜5千円程度が相場です。文字数や台紙の種類によって料金は変動します。
弔電は通夜式がはじまる前に届くよう手配するのが理想的です。遅くてもお通夜が行われる日の14時までに手配を済ませましょう。
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葬儀当日に供花を送る
供花とは、葬儀会場の祭壇に飾られる花をいいます。供花を送る際は、ご遺族だけでなく、葬儀会場へも許可をとりましょう。
会場によっては外部からの供花を受け付けない場合があるためです。
依頼自体はどこのお花屋さんからもできますが、可能であれば、葬儀を依頼した葬儀社に手配するのがおすすめです。
葬儀社に直接依頼すれば、祭壇の雰囲気に合う適切な供花を用意してもらえます。
費用は数千円から2万円程度が目安です。
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葬儀当日に供物を送る
供物を送る場合も、事前にご遺族の意向を確認するのが大切です。
供物は、お菓子や缶詰、またはお線香やろうそくといった日持ちするものが適しています。
故人が好きだった品物を選んでもよいでしょう。
相場は数千円から2万円程度で、仏教の場合は「御霊前」や「御供物」、神道では「御玉串料」の表書きが用いられます。
ただし、浄土真宗では「御霊前」は用いられないため注意が必要です。
依頼する際は、供花と同じく葬儀を担当している葬儀社に依頼するのがおすすめです。
葬儀後に弔問する
葬儀に参列できなかった場合や、訃報を後で知った場合には、葬儀後に弔問する方法もあります。
弔問の場合も突然の訪問は避け、事前にご遺族の都合を確認しましょう。
弔問の時期として一般的なのは、葬儀の1週間後から1カ月以内です。服装は、喪服か、もしくは落ち着いた色のものを選びましょう。
手土産は必須ではありませんが、持参する場合は、果物やお菓子などがよく選ばれています。
弔問時は、ご遺族の負担を軽減するためにも、長居せず引き上げることが大切です。
葬儀の香典辞退でよくある困りごと
香典を辞退すると、反対の立場になった際に困りごとが発生する可能性があります。
例えば、参列者として香典を渡したいと思っていても「以前、香典を渡さなかったから、こちらも受け取れない」となる場合です。
相手に気をつかわせてしまうほか、他の参列者は香典を渡せても自分だけ渡せない、といった状況になってしまいます。
かえって相手の負担になる可能性もあるため、香典の辞退は、参列者との関係性も考慮してから判断しましょう。
【Q&A】葬儀の香典辞退に関するよくある質問
葬儀の香典辞退に関するよくある質問をまとめました。
Q.【参列者】香典辞退の葬儀に参列し、簡単な品物をいただきました。お礼は必要でしょうか?
Q.【ご遺族】供花や供物も辞退したいのですが、どのように伝えればいいでしょうか |
ひとつずつ回答します。
Q.【参列者】香典辞退の葬儀に参列し、簡単な品物をいただきました。お礼は必要でしょうか?
A.お礼は必要ありません。
受け取ったのは「会葬御礼」だと考えられます。参列に対する御礼であり、香典返しとは異なる性質を持ちます。
香典を辞退していない通常の葬儀においても「葬儀に参列してくれてありがとう」という意味で、香典返しと別で用意するのが一般的です(※)。
会葬御礼に対しては、改めてお礼をする必要はありません。
※会葬御礼の有無は、地域によって異なります。
Q.【ご遺族】供花や供物も辞退したいのですが、どのように伝えればいいでしょうか
A.「御香典・御弔電・御供花等は辞退させていただきます」と、明確に伝えるのがおすすめです。
「ご厚意は辞退申し上げます」という言い方もありますが「ご厚意」を香典・供花・供物の辞退ととらえない方もいらっしゃるためです。
まとめ:葬儀で香典を辞退する際は早めに連絡をする
葬儀で香典を辞退する行為は、マナーとして問題はありません。近年は、葬儀の小規模化にともない、香典を辞退する人も増えている傾向です。
香典の辞退には、参列者への対応や香典返しの準備に関する手間が軽減するメリットがあります。
一方、葬儀費用の持ち出しが増える・参列者から理解が得られない可能性がある、などのデメリットも存在します。
一長一短があるため、安易に辞退を判断せず、家族同士で相談してから決めるのがおすすめです。
コープの家族葬では、葬儀に関するさまざまな疑問・悩みの相談を受け付けています。
24時間365日、いつでも対応可能です。緊急で相談したい方や、ゆっくりと葬儀の準備を進めたい方、とりあえず話を聞いてみたい方など、どなたでも気軽にご相談ください。