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身寄りのない人の葬儀はどうなる?納骨・行政手続き・遺品の取り扱いについて解説

「身寄りがない人は、死んだあとどうなるの?」
「孤独死の場合も葬儀は執り行ってもらえる?」

 

一人暮らしの高齢者は一貫して増加傾向です。それに伴い、逝去後にどのような扱われ方をするのか不安や疑問を感じる方も増えています。

 

そこで、本記事では、身寄りがない方が亡くなった際の葬儀・火葬・埋葬について解説します。

 

逝去後の資産・負債・遺品などの手続きについても記載していますので、不安を解消したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

<この記事でわかること>

  • 身寄りがない人が亡くなった際の葬儀・火葬・埋葬について
  • 葬儀費用や埋葬費用の支払い方法
  • 逝去後の資産・負債・遺品の処分方法
  • 身寄りがない人が生前に取り組んでおくべきこと

 

身寄りのない人が亡くなった場合、葬儀は行われるのか?

身寄りのない人が亡くなった場合、葬儀は行われるのか?

身寄りがない方が亡くなった場合も葬儀は執り行われます。生前の付き合いに関わらず、血縁関係のある方に連絡が行き、葬儀をしてもらうのが一般的な流れです。

 

血縁関係のある方が一切いない場合、各自治体が葬送の対応をしてくれます。付き合いのあった近隣住民や友人が対応してくれるケースも少なくありません。

 

身寄りのない人の火葬・納骨はどうなる?

身寄りのない人の火葬・納骨はどうなる?

身寄りのない人は、引き取り手がいない場合、合葬墓に入るケースがほとんどです。いわゆる「無縁仏」と言われるもので、以下の流れによって合葬墓への納骨が決定します。

 

  1. 1.各自治体が定める期間内に保管・管理
  2. 2.保管・管理できる期間内に故人の親戚を探す
  3. 3.親戚が見つからなかった場合は、合葬墓に納骨される

 

保管・管理期間は、5年としている自治体がほとんどです。

 

また、合葬墓に納骨したのち親戚が現れてお骨を引き取りたいと希望しても、引き取ることはできません。

 

合葬墓は、骨壷から遺骨を出し、複数人の遺骨をまとめて納骨する形式であるためです。

 

【パターン別】身寄のない人の死後から埋葬までの流れ

【パターン別】身寄のない人の死後から埋葬までの流れ

本章では、以下のパターンに分けて、身寄りのない人が亡くなってから埋葬されるまでの流れを解説します。

 

  • 自宅で亡くなった
  • 病院で亡くなった
  • 自宅や病院以外で亡くなった

 

逝去後、遺体がどう取り扱われるのか見ていきましょう。

 

自宅で亡くなった

自宅で亡くなった際の流れは、以下のとおりです。

 

  1. 1.第一発見者が警察へ連絡
  2. 2.警察による検死後、自治体へ連絡が入る
  3. 3.自治体が遺体を引き取る
  4. 4.自治体が一定期間保管・管理
  5. 5.保管・管理の期間内に、戸籍から相続人や親族を探す
  6. 6.相続人・親族が見つからなかった場合は、自治体が火葬・埋葬を行う

 

なお、第一発見者が逝去を確認するきっかけとして最も多いのが、遺体の放置による腐敗臭・異臭です。

 

郵便受けにチラシや新聞紙がたまり、不審に感じて通報されるケースもあり、いずれも一人暮らしの方に多く見られます。

 

病院で亡くなった

病院で亡くなった際の流れは、自宅で亡くなった際と大きく変わりありません。以下の流れで進みます。

 

  1. 1.病院から自治体へ連絡が入る
  2. 2.自治体が遺体を引き取る
  3. 3.自治体が一定期間保管・管理
  4. 4.保管・管理の期間内に、戸籍から相続人や親族を探す
  5. 5.相続人・親族が見つからなかった場合は、自治体が火葬・埋葬を行う

 

患者の住所・氏名が分からない場合は、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」に則り、火葬・埋葬されます。

 

参照:行旅病人及行旅死亡人取扱法

 

自宅や病院以外で亡くなった

自宅・病院以外で亡くなった場合、遺体の発見者が警察へ連絡し、速やかに搬送されます。

 

遺体の所持品から身元を調査し、身内がいないと判明した際は、『病院で亡くなった』の「3.」と同じ流れで進みます。

 

火葬・埋葬に関しても同じく、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」に則り、火葬・埋葬されるのが一般的です。

 

参照:行旅病人及行旅死亡人取扱法

 

葬儀費用・埋葬費用の支払い方法

葬儀費用・埋葬費用の支払い方法

身内がいない人の葬儀・埋葬費用は、自治体が建て替えます。葬儀に充てる資産(遺産)がある際は充当され、ない場合は自治体が全て支払います。

 

とはいえ、自治体が全額支払うのは稀であり、ほとんどの場合は血縁関係を調査して葬儀・埋葬費用を依頼するのが一般的です。

 

なお、葬儀費用の支払いを依頼された血縁関係者は、以下の3つの制度を利用して負担額を軽減できます。

 

  • 葬祭費補助金
  • 葬祭扶助制度

 

それぞれの制度を見ていきましょう。

 

葬祭費補助金

葬祭費補助金とは、国民健康保健・健康保険・後期高齢者医療保険に加入している方が利用できる制度です。

 

逝去した際に一定金額が給付されます。加入していた医療保険別の支給金額は以下のとおりです。

 

国民健康保険 金額 30,000円
申請先 各自治体
健康保険(社会保険) 金額 50,000円
申請先 協会けんぽなど

 

国民健康保険の支給額は各自治体で異なります。北海道の場合、ほとんどの市町村が30,000円としています。

 

葬祭扶助制度

生活保護受給者である場合に、葬祭費の全額が支給される制度です。利用するためには以下の条件に合致している必要があります。

 

<葬祭扶助制度の利用条件>

  • 故人が生活保護受給者
  • 喪主・施主にあたる方が生活保護受給者

 

ただし、上記の条件を満たしていれば無条件に利用できるわけではありません。各自治体の細かな審査基準をクリアしたのち、補助金が支給されます。

 

なお、当制度で負担してくれるのは、火葬に必要な最低限の金額のみです。納骨にかかる費用は支給されません。

 

詳細については、各自治体生活保護課への確認が必要となります。

 

身寄りのない人の資産・負債・遺品の取り扱い

身寄りのない人の資産・負債・遺品の取り扱い

身寄りがない人が亡くなった際の以下項目の取り扱いについて解説します。

 

  • 資産の取り扱い
  • 負債の取り扱い
  • 部屋にある荷物(遺品)などの取り扱い
  • 水道・電気・ガス・携帯の契約や支払い

 

それぞれ、決められた手続きを経て処理されます。詳細を見ていきましょう。

 

資産の取り扱い

預貯金や不動産などの資産は、法定相続人に相続されるのが一般的です。法定相続人とは、故人(被相続人)の配偶者・子・直系尊属(両親・祖父母など)を指します。

 

身寄りがない人の場合、法定相続人が見つかるケースは稀なため、資産が長期間放置されるケースがほとんどです。

 

市町村が戸籍をたどり、血縁関係のある方がいないと判断した際には国庫へ帰属されます。

 

負債の取り扱い

債務・借金などの負債に関しても、一般的には法定相続人が引き継ぎます。身寄りがない人の場合、代わりに財産管理する方を選任する手続きが必要です。

 

「相続財産管理人(相続財産精算人)」と呼ばれる人で、家庭裁判所に依頼したのち、法律の資格を持った専門家から選ばれます。

 

これらの手続きは各自治体で行われ、相続財産管理人によって故人の資産から負債を精算するなどの処理が行われます。

 

部屋にある荷物(遺品)などの取り扱い

部屋に残した荷物については、相続人以外が処分できない決まりになっています。大家さんなど、物件を管理している方も例外なく処分はできません。

 

そのため。『負債の取り扱い』の際と同じく「相続財産管理人」を選任して遺品を処分するのが一般的です。

 

とはいえ、相続財産管理人を立てたからといって簡単に処分はできない決まりになっています。

 

ひとつつずつ家庭裁判所の許可を得ながら遺品を処分するため、長い時間が必要です。

 

なお、賃貸借契約の解約手続きも相続財産管理人が代行します。

 

水道・電気・ガス・携帯の支払い

水道・電気・ガス・携帯などを口座振替で払っていた場合は、口座が凍結するまで引き落としが続きます。

 

口座が凍結したり、残高が少なくなったりした際には、契約時の保証人に請求書や督促状が送られる仕組みです。

 

身寄りのない人が生前にしておくべきこと

身寄りのない人が生前にしておくべきこと

身寄りがない人が亡くなった場合、各自治体によって長い時間をかけて処理が行われます。顔も見たことがない血縁者に金銭的な負担をおわせてしまう可能性も少なくありません。

 

逝去後に自分の望まない形で葬送されることを防ぐためには、生前の準備が重要です。具体的な準備の内容は以下のとおりです。

 

  • 任意後見人制度を利用する
  • 財産管理等委任契約を締結する
  • 事前に葬儀社を決めておく
  • 生前整理をしておく
  • 遺言書を用意しておく
  • 死後事務委任契約を締結する
  • 人との関わりを大切にする

 

ひとつずつ解説します。

 

任意後見人制度を利用する

任意後見人制度とは、故人の判断能力が低下した際に、財産管理や老後のケアなどを第三者に依頼できる制度です。

 

契約の際には公正証書を作成し、本人と後見人と同意の上で契約します。効力が発揮されるのは、故人の判断能力が低下した際です。

 

具体的には、以下の内容を後見人に依頼できます。

 

  • 住むところを確保するための手続き
  • 生活環境の整備
  • 入退院時の事務手続きや入院中のサポート

 

財産管理等委任契約を締結する

財産管理等委任契約とは、故人が病気や怪我をした際に、財産管理や看病を第三者にお願いできる契約です。

 

前項で解説した任意後見人制度と異なり、故人の判断能力がしっかりしているときにも効力が発揮できます。

 

第三者に依頼できる具体的な行動は、以下のとおりです。

 

  • 銀行への振り込み手続き
  • 税金や医療機関への支払い
  • 要介護認定の申請低続き

 

葬儀社を決めておく

希望する葬儀を執り行うためには、事前に葬儀社を決めておくのがおすすめです。

 

「身寄りがいないから、葬儀社を決めていてもしかたがない」と思うかもしれませんが、「死後事務委任契約」にて契約した第三者を喪主・施主として立てることが可能です。(「死後事務委任契約」については、以降で解説)

 

自分の望む葬儀の内容が決まっているのであれば、元気なうちに、希望を叶えてくれる葬儀社を選んでおきましょう。

 

なお、希望の葬儀社が積立制度などを用意している場合は、利用したほうが金銭的にお得なケースが多く見られます。

 

コープの家族葬でも「コープの家族葬積立制度」を用意しています。月3,000円からの支払いで、最大100万円まで積立できる制度です。

 

積立金は葬儀以外にも使用でき、契約時にはコープで使用できる10,000円分のポイントもプレゼントしています。

 

無料のパンフレットもご用意していますので、積立制度が気になる方は、気軽に以下のページからお問い合わせください。

 

コープの積立制度のパンフレットを無料で見てみる

 

生前整理をしておく

大切にしてほしいものや、逝去後に見られたくないものがある場合は、生前整理をしておくと安心です。

 

物が多くて一人では難しい場合には、お金はかかりますが専門業者に手伝ってもらう方法もあります。

 

土地・家・財産なども生前整理しておくことをおすすめします。なお、固定資産に該当するものの整理には、税理士や行政書士の知識を借りるようにしましょう。

 

遺言書を用意しておく

遺産の使用用途などを指定したい場合は、遺言書を残しておくのがおすすめです。

 

遺言書があれば、故人の希望にそって資産・遺品が処理されます。

 

記載内容の例としては、「遺産は〇〇団体に寄付してほしい」「お世話になった〇〇さんへ譲ってほしい」などです。

 

なお、遺言書がない場合、資産は国庫へ帰属されます。

 

死後事務委任契約を締結する

「死後事務委任契約」とは、逝去後に必要な事務手続きを第三者にお願いするための契約です。例えば、以下の内容を委任できます。

 

  • 電気・ガス・水道などのライフライン関係の解約
  • 家賃・医療費などの精算
  • 自宅の掃除
  • デジタル遺品の処理

 

人との関わりを大切にする

アナログな方法ですが、いざというときに頼れる関係を近隣住民と作っておくことも大切です。隣近所の方と交流があれば、仲良くしていた方が葬儀を執り行ってくれる可能性もあります。

 

良好な関係性を築くためには、以下の行動がおすすめです。

 

  • 町内会のボランティア活動に参加
  • サークル活動
  • 市民大学への参加
  • 老人会への参加

 

いざというときに助け合える関係性を築いておきましょう。

 

身寄りがない人の現状

身寄りがいない人の現状

内閣府が行った令和4年の調査によると、孤独死する方の数は年々増えており、特に65歳以上の割合が多いようです。

 

65歳以上の多くは、身近な問題であると感じているといった結果も見られています。

 

これに伴い、成年後見制度を契約する方も増えているようです。

 

また、身寄りのない高齢者の不安につけこんだ終活詐欺も増えています。

 

終活を語り、遺品整理や不用品買取などを装い、相場よりも低い価格で品物を買い取る業者に騙されてしまった高齢者も少なくありません。

 

終活は、人生の最期を決めるうえで大切な取り組みですが、詐欺も横行しているため、活動する際には十分注意しましょう。

 

参照:内閣府『第1章 高齢化の状況(第2節 3)

 

【Q&A】身寄りがない人の葬儀に関してよくある質問

【Q&A】身寄りなない人の葬儀に関してよくある質問

身寄りがない人の葬儀に関してよくある質問をまとめました。内容は以下のとおりです。

 

Q.終活はしておくべき?
Q.身寄りがない人が亡くなった場合、何親等までの親族に連絡がきますか?

 

ひとつずつ回答します。

Q.終活はしておくべき?

終活はしておいて損はありません。無料のセミナーも数多く開催されているため、まずは金銭的な負担のかからないものから参加・取り組んでみましょう。

 

終活を通して、葬儀や相続の知識が身につきます。

 

Q.身寄りがない人が亡くなった場合、何親等までの親族に連絡がきますか?

市役所が戸籍を辿って連絡を取るのは、民法上の「親族」に該当する方々です。民法上の親族とは、配偶者・6親等以内の血族・3親等以内の姻族を指します。

 

親族が管轄外に転籍している場合は、たどり着くまでに時間がかかるため、その間、遺体は安置用冷蔵庫で保管されます。

 

まとめ:身寄りがない方は生前に葬儀の準備をしておくと安心

まとめ:身寄りがない方は生前に葬儀の準備をしておくと安心

身寄りがない人でも、葬儀は執り行われます。遺体を引き取った自治体が戸籍を調べ、関係性の有無に関わらず血縁関係のある方に葬儀を依頼するケースがほとんどです。

 

血縁関係が一切ない場合は、自治体が葬儀・埋葬を行います。この時の葬儀形式は火葬式で、埋葬は合葬墓のみです。

 

遺産については所定の手続きによって処理され、最終的には国庫に帰属されます。逝去後に希望の使い道がある場合は、遺言書を残しておくとよいでしょう。

 

近年は、遺言書について教えてくれる終活セミナーも多くあります。葬儀や相続について詳しく知りたい方は、終活セミナーを利用するのもおすすめです。

 

なお、コープの家族葬では、葬儀に関するさまざまな情報をまとめた資料を無料で用意しています。自宅でゆっくりと葬儀について調べたい方は、気軽にお問い合わせください。

 

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