お葬式は故人を偲び冥福を祈る大切な行事。喪服などの身だしなみではマナーが問われるため、着用するマスクの色についても気になるでしょう。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴って、市販されているマスクの種類や色合いはとても増えて、形状や機能も豊富になり、マスクはとても身近になりました。
コロナやインフルエンザ対策としてはもちろん、花粉症の方など、むしろお葬式にはマスクをした方が安心と感じる方も多いでしょう。
でも、迷うのはマスクの色。白・黒・グレー・ベージュ・ピンクなど、カラーバリエーションが増えて簡単に手に入るようになったからこそ、悩む方は多いと思います。
そこで、お葬式のマスクに関して、ふさわしい色や素材・形状についてご紹介します。マスクの注意点についてもご紹介しますので、どうぞご参照ください。
お葬式のマスク着用に関する基本マナー
お葬式のマスク着用に関しては、知っておきたい基本マナーがあるため、次の3つの順序でご紹介します。
- マスクの着用は個人の意思で決定する
- マスクをした方が良い人
- お葬式でマスクが必要と感じる場面
マスクの着用は個人の意思で決定する
新型コロナウイルス感染症で義務付けられていたマスクの着用は、2023年3月13日から個人の判断に委ねられるようになりました。
出典:マスクの着用について(厚生労働相)
義務ではないマスクの着用を他人へ強要して暴行や脅迫をすると、大事なお葬式の場でトラブルとなり、強要罪に問われる可能性もあるためご注意ください。
なお、強要罪とは、刑法223条で定められた法律で、罰則として3年以下の懲役に処せられます。
出典:刑法(e-GOV法令検索)
マスクを着用した方が良い人
マスクは自分の身を守るためはもちろん、周囲の人たちへ対する気遣いとしてのマナーでもあり、次の2つの条件に該当する人はマスクが必要といえるでしょう。
- 新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの感染対策をしたい人
- 咳・くしゃみの症状がある人や花粉症の人
新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの感染対策をしたい人
新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの感染対策にあたっては、とくに次の3つのケースでマスクを着用した方が安心です。
- 病院や高齢者施設を訪問するとき
- 混雑した電車・バスなどに乗るとき
- 高齢者や基礎疾患のある方や妊婦など重篤化リスクの高い人が混雑した場所に行くとき
つまり、お葬式では斎場のみならず、公共交通機関を利用した往復の移動時を含めて、マスクが必要かどうかを判断しなければなりません。
コロナが落ち着いても、とくに12~3月はインフルエンザが流行しやすい時期のため、上記の対象者はマスクを着用した方が安全だといえるでしょう。
出典:インフルエンザの感染を防ぐポイント 「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」(政府広報オンライン)
咳・くしゃみの症状がある人や花粉症の人
咳やくしゃみは、他人にとって不快なものです。花粉症によるくしゃみも同様のため、症状が出ている方はマスクをした方が無難です。
咳やくしゃみによる飛沫は、2~3m程度飛ぶといわれています。
もし風邪などの病気の場合には、周囲の人へうつしてしまう可能性もあるため、ぜひマスクをしましょう。
お葬式でマスクが必要と感じる場面
お葬式は密室で執り行うほか、人と接する場面が多くあります。参列する際に具体的にマスクが必要と感じる場面について、お葬式の流れに沿ってご紹介します。
順序 | 状況 |
---|---|
受付 | 整列して受付で対面により挨拶してからお香典を渡す。 |
お通夜 | 読経を伴う着席は1時間程度だが、参列者が多いお葬式は2時間に及ぶ場合もある。 |
通夜振る舞い | 家族や親族で食事をしながら故人との思い出を語り合う。一般参列者へ通夜振る舞いをする場合、喪主や遺族が挨拶廻りをするため、お悔やみを伝える。 |
葬儀・告別式 | 1時間程度の着席による儀式と棺への花入れを行う。 |
火葬 | バスなどによる火葬場への移動や密室での骨上げを行う。 |
還骨・繰上げ法要 | 読経を伴う30分程度の着席による儀式の後に参列者で食事をする。 |
お葬式の種類と日程
お葬式には基本的に4つの種類があり、人数規模や日数が異なります。一般の参列者の場合、お通夜へ参列するのが通例です。
種類 | 1日目 | 2日目 |
---|---|---|
一般葬 | お通夜 | 葬儀・告別式・火葬 |
家族葬 | お通夜 | 葬儀・告別式・火葬 |
一日葬 | 葬儀・告別式・火葬 | - |
直葬・火葬式 | 火葬 | - |
遺族や親族といった近親者は、すべての儀式へ参列及び立ち会ったうえで、還骨・繰上げ法要を執り行う際は、法事の食事の席にも同席するのが一般的となっています。
お葬式のマスクの色は何色がいい?
お葬式のマスクの色は、白が最良です。その理由や、黒・ベージュ・グレー・ピンクなどのマスクの色に関する見解についても詳しくご紹介します。
- マスクの色は白の無地が最適!その理由とは?
- 黒いマスクはお葬式に向いている?
- ベージュ・グレー・ピンクなどのマスクでもいい?
マスクの色は無地の白が最適!その理由とは?
お葬式で大切なのは清潔感のある身だしなみのマナーです。顔を覆うマスクの色はとても目立つため、清潔感のある白いマスクを着用するのが最良です。
喪服は黒、男性なら無地の白いワイシャツ、ハンカチも白もしくは黒といったように、お葬式では服装や持ち物の色に決まりがあります。
とくに喪主や遺族、親族側の立場にあたる人は、参列者から注目されやすいため、白いマスクを着用しましょう。
黒いマスクはお葬式に向いている?
結論からいうと、お葬式での黒いマスクは不向きです。喪服と同じ色の黒いマスクはお葬式に向いていると感じる方もいらっしゃるかもしれませんがご注意ください。
男女各450人ずつ合計900人を対象にしたアンケート調査の結果、約9割の人たちが葬祭時に黒マスクを着用するべきだと「思わない」と回答しました。
出典:88.0%が、葬祭時に黒マスクを着用するべきだと「思わない」(日本トレンドリサーチ)
その反面、白いマスクと回答した人は、81.3%となっており、喪服が黒いからとマスクも黒を着用すると、違和感を感じる人が大半を占める傾向にあります。
黒いマスクは怖い印象を受ける人もいれば、威圧感や不信感を抱きやすく、ビジネスマナーとしても、営業マンにはふさわしくないともいわれています。
一方で、明るく、清潔感を抱きやすいといわれているのが白いマスクです。
お葬式は故人の遺族や親族をはじめ、多くの参列者が集う神聖な場所であるとともに、大半の人は白いマスクで訪れることをよく理解しておきましょう。
ベージュ・グレー・ピンクなどのマスクでもいい?
急なお葬式で、どうしても白いマスクが用意できない場合には、ベージュやグレーなどのカラーマスクで参列してもやむを得ません。
というのも、突然の訃報によりお葬式に参列する場合、喪服は略喪服といい、グレーや紺などのスーツでも構わないとされているためです。
とはいえ、白いマスク以外のカラーは、略式スタイルとしての参列とみなされることをご理解いただければと思います。
一方で、ピンクは華美ではない落ち着きのある色合いのマスクのみとし、他の色も目立つ色は避けるようにご注意ください。
カジュアルな印象を受けるため、柄や装飾のあるマスクは、お葬式では厳禁です。
喪主や遺族側の立場にあたり、お葬式へ着席する人たちは注目されやすく、参列者へお礼を伝えるシーンも多いため、白いマスクを着用しましょう。
近年、マスクはファッション性が高くなり、自分に似合うマスクの色を調べられるシミュレーターも登場しました。
出典:パーソナルカラー診断(ヴィクトリアンマスク)
「肌の色に近いベージュなら違和感はないのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、お葬式はファッション性よりも、モラルやマナーが大事な行事です。
ネイルやマニキュアはオフして、薄化粧で参列するのが正しいマナーのため、マナー違反と捉える人もいることをきちんと知っておきましょう。
お葬式のマスクに関してよくある質問5選
お葬式のマスクに関しては色合い以外にも気になる事項があると思います。そこで、よくある質問をまとめてご紹介しますので、チェックしておくと安心です。
- マスクでお葬式に最適な素材は?
- マスクでお葬式に最適な形状は?
- お葬式のマスクで注意することは?
- マスクがない場合の咳やくしゃみの対処法は?
- 最近の葬儀社のコロナ対策は?
マスクでお葬式に最適な素材は?
マスクは素材も形状もさまざまありますが、本質的な機能性を重視すると、次の3つのポイントを押さえたマスクを選ぶのが最良です。
- 素材はガーゼなどの布製よりも不織布のサージカルマスクが効果的
- 不織布で効果が高い種類は「PEF(0.1㎛)→VFE(約1.7㎛)→BFE(約3㎛)」の順
- 全国マスク工業会会員マークが付いているマスクが安心
出典:不織布マスクの性能と使用時の注意(環境省)
マスクでお葬式に最適な形状は?
マスクの形状は、鼻の根元や口の周囲をしっかりと包み込み、顔の肌へのフィット性の高いものを選びましょう。
プリーツ型や立体型など、マスクにはさまざまな形状がありますが、形による効果の違いはとくにないため、密着度の高いマスクであれば問題ありません。
一方で、フィルター機能による効果は高いため、1層よりも2層・3層など、厚みとなる構造は重視した方が安心です。
夏なら涼感タイプ、冬ならメガネが曇りにくいタイプなど、機能性を備えたマスクもさまざま登場しているため、季節に応じて快適なものを選ぶと良いでしょう。
お葬式のマスクで注意することは?
お葬式へは、必ず替えのマスクを忘れないようにご持参ください。
故人とのお別れともなると、涙や鼻水でマスクが汚れてしまう可能性があるため、予備のマスクは用意しておいた方が安心できるでしょう。
また、お葬式は基本的にお通夜と葬儀・告別式の2日間で執り行われます。喪主や遺族、親族の方は、最低でも宿泊分や食後分をご準備ください。
マスクがない場合の咳やくしゃみの対処法は?
マスクをしていないときの咳やくしゃみは、咳エチケットとして、ハンカチやティッシュ、もしくは腕の内側や袖で口元や鼻を覆うようにしましょう。
出典:咳エチケット(厚生労働相)
ただし、風邪などで体調が悪いときは、周囲の人たちへの影響を考慮して、お葬式への参列を控えるのも大切なマナーです。
お悔やみの気持ちは、お香典の郵送や弔電・供花などを贈ることでも伝えることができるため、無理をして参列しないようにご注意ください。
お香典や弔電の送り方は「家族葬の場合に香典袋を現金書留で送る際のマナー|送るタイミングや挨拶状の書き方を解説」「家族葬での弔電や香典の正しいマナー【例文付き】送る側と受け取る側」の記事で解説していますので、ご参照ください。
最近の葬儀社のコロナ対策は?
新型コロナウイルス感染症への徹底した感染拡大対策から、多くの葬儀社ではアルコール消毒やマスクの着用を継続し続けています。
斎場や火葬場などの施設の出入口へはアルコール消毒液が設置されているケースも多くありますが、安全面で気になる場合は、葬儀社へ事前に確認しておくと安心です。
まとめ:お葬式のマスクの色は白が最適!他の色は略式スタイルになる
お葬式で注意したいマスクの色やマナー、知っておきたいマスクの知識についてご紹介しましたが、まとめると次のとおりです。
- お葬式はお通夜も葬儀・告別式も密室で執り行われ、人と接する機会が多いが、マスクをするかどうかは自分の意思で決める。
- お葬式のマスクの色は白が最適。急な訃報の案内で、どうしても用意できないときは、略喪服と同じ扱いで、黒・ベージュ・グレー・ピンクなどでも落ち着いた色なら構わない。ただし、目立つ色や柄の入ったものは避ける。
- マスクは不織布でフィット感のあるものを選ぶと良い。お葬式へは予備のマスクを多めに用意して持参すると安心。
コープの家族葬では、マスクの着用やアルコール消毒による徹底した感染防止対策により、安全かつ快適なお葬式を支援させていただいております。
引き続き、お客様皆さまへ安全と安心をお届けして参ります。より良い斎場選びや、気になることがあれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。