「法事・法要のお礼状は、どうやって書けばいい?」
「筆記用具・便せん・封筒などは、何を用意する?」
「手書きのほうがいいの?」
法事・法要が終了した際、関係があった方々にお礼状を送付する場面があります。
お礼状には書き方や送り方のマナーがあります。
マナーを知らずに送付した場合、常識がない人と思われる可能性も少なくありません。
本記事では、法事・法要のお礼状に関する基本的なマナーや、状況別の文例を紹介します。
法事・法要を控えている方、または無事終了した方は、ぜひ参考にしてみてください。
|
<この記事でわかること> ・お礼状の基本的なマナー ・お礼状に盛り込む内容 ・お礼状の準備方法 ・状況別のお礼状の文例 |
法事・法要のお礼状とは

法事・法要におけるお礼状は、以下の方々に感謝の気持ちを伝えるための書状です。
- 故人を偲ぶために集まってくださった方
- 準備や当日の運営を手伝ってくださった方
- お供え物や香典を送ってくれた方
お礼状は、感謝を伝えるだけでなく、法要が無事に執り行えたことの報告も兼ねています。
また、お礼状を送る際は、お礼の品物と一緒に送るのが一般的です。
法事・法要のお礼状の基本的なマナー

法事・法要のお礼状を書く際は、以下のマナーに配慮しましょう。
- 句読点は使用しない
- 忌み言葉・重ね言葉を避ける
- 縦書きで書くのが基本
- お礼状における故人の呼称を用いる
- 宗教・宗派に応じた言葉選びを心がける
それぞれのマナーを解説します。
句読点は使用しない
法事・法要のお礼状では、「、」や「。」の句読点を使用しません。
文章を区切りたい場合や、読みやすくしたい場合には、代わりに空白(スペース)を一文字分あけて調整します。
句読点を使用しない理由は諸説あります。
- 毛筆で手紙を書く際に句読点を用いなかった慣習が残っている
- 法事・法要が滞りなく進むようにとの願いを込め、文章を区切る句読点を使用しない
- 句読点は読解力が十分でない方への補助的な意味があり、改まった書状では用いない
近年では、句読点の使用について柔軟な考え方を持つ方も増えています。
しかし、しきたりやマナーを重んじる方も多いため、お礼状では句読点を使用しないほうが無難です。
忌み言葉・重ね言葉を避ける
お礼状では、不幸の連続を連想させる「重ね言葉」や、縁起の悪い「忌み言葉」は使用しません。
受け取る相手に不快な思いをさせたり、配慮に欠ける印象を与えたりする可能性があります。
重ね言葉や忌み言葉の例は、以下のとおりです。
| 重ね言葉 | ますます・度々・重ね重ね・色々・日々・くれぐれも・わざわざ |
|---|---|
| 忌み言葉 | 浮かばれない・消える・忙しい |
忌み言葉については、以下の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
| 【関連記事】 |
縦書きで書くのが基本
法事・法要のお礼状は、縦書きで書くのが基本です。
日本の伝統的な書式である毛筆文化の名残と考えられています。
手書きだけでなく、パソコンなどで作成して印刷する場合にも同様です。
親しい友人などに宛てて少しカジュアルな内容で送る場合には、横書きが許容されるケースもあります。
しかし、お礼状を送る相手には年配の方も多いため、伝統的な縦書きを選ぶのが適切です。
お礼状における故人の呼称を用いる
法事・法要のお礼状で故人に言及する際は、喪主から見た故人との関係性を示す呼称を用います。
| <表記の例>
続柄の前に「亡」をつけて「亡祖父」「亡母」など |
故人の名前を記載する場合には、関係性の後に故人のフルネームを書き、その後に「儀」という言葉を添えます。
| <表記の例>
「亡祖父○○(故人の名前)儀」 「亡母○○(故人の名前)儀」 「故○○(故人の名前)儀」 |
「亡」と「故」は同じ意味を持つため、どちらを使用しても問題はありません。
よくある間違いとして、身内である故人に対して敬語を使ってしまうケースがあります。
たとえば、「逝去した父も喜んでいると思います」という文章です。
「逝去」は尊敬語で、他者に対して使う言葉であり、身内に対しては使用しません。
上記の意味を伝えたい場合は「亡父も喜んでいると思います」のように、「亡」を用いて表現するのが正しい書き方です。
宗教・宗派に応じた言葉選びを心がける
法事・法要のお礼状を作成する際は、故人の宗教・宗派に応じた言葉選びを心がけましょう。
宗教によって死生観や儀式の呼び方が異なるためです。具体的には、以下の言葉が該当します。
| 亡くなったことを表す言葉 | 法要の名称 | |
|---|---|---|
| 神道 | 帰幽 | ○○(数字)年祭 |
| キリスト教 | カトリック:帰天
プロテスタント:召天 |
カトリック:追悼ミサ プロテスタント:記念集会・記念式 |
また、神道・キリスト教では、以下の言葉を使ってはいけないとされています。
- 成仏
- 冥福
- 往生
- 供養
いずれも仏教でのみ使用する言葉です。
法事・法要のお礼状を送る際のマナー

法事・法要のお礼状を送る際のマナーを、以下の項目に分けて解説します。
- お礼状を送る相手
- お礼状を送るタイミング
- 手書き・印刷どちらでもよい
心を込めて書いたとしても、マナーから外れてしまうと、相手に対して失礼にあたる可能性があります。
お礼状を送る相手
お礼状を必ず送るべき方は、以下のとおりです。
- 法事・法要にやむを得ず参列できなかったものの、香典やお供え物を送ってくれた方
- 葬儀に参列してもらったが、法事・法要は家族だけで行ったため参列を遠慮してもらった方
そのほか、法事・法要に参列してくださった故人のご友人・知人、遠方か駆けつけてくださった方々へも送ると、より丁寧な印象になります。
お礼状を送るタイミング
お礼状を送るタイミングは、法要の種類によって異なります。
| 葬儀後のお礼状 | 四十九日法要のあと |
|---|---|
| 回忌法要のお礼状 | ・法要が終了してから1週間以内
・遅くても1カ月以内 |
葬儀後の忌明け法要の場合、仏式では「四十九日法要」を終えた後、神式では「五十日祭」の後が一般的です。
キリスト教式の場合は、カトリックの「昇天記念日」やプロテスタントの「召天記念日」など、それぞれの宗派で忌明けとされる儀式を終えたタイミングで送ります。
一周忌や三回忌などの回忌法要の場合は、法要が無事に終了してから1週間以内を目安に送るのが理想です。
遅くても1カ月以内にはお相手の手元に届くように手配しましょう。
手書き・印刷どちらでもよい
法事・法要のお礼状は、手書きと印刷のどちらで用意してもマナー違反ではありません。
手書きが最も丁寧な方法ですが、以下のメリット・デメリットがあるため、状況に応じて使い分けるのがおすすめです。
| 手書きのメリット・デメリット | |
|---|---|
| メリット | ・より想いが伝わりやすい
・受け取った方に丁寧な印象を与える |
| デメリット | ・制作に時間がかかる
・多くの枚数を用意するのに手間がかかる |
お礼状が大量になる場合や、故人の会社関係者などへ送付する場合は、印刷業者へ依頼する方法も検討しましょう。
なお、手書きの場合は、毛筆または筆ペンを使用するのがよいとされています。
法事・法要のお礼状の費用・準備内容
法事・法要のお礼状の費用・準備内容は以下のとおりです。
| 費用 | 依頼する場合は10枚あたり4,000〜6,000円の業者が多い |
|---|---|
| 便せん | 伝統的なのは「奉書紙」だが、一般的な便せんでも問題はない
枚数は1枚に収めるのが理想 |
| 封筒 | 白無地の封筒が望ましい |
| はがきの使用 | 便せんと封筒ではなく、はがきで送っても問題はない |
法事・法要のお礼状の費用は、依頼するサービスや内容によってさまざまです。
相場としては、10枚あたり4,000〜6,000円程度で設定しているところが多い傾向です。
自分で作成する場合は、便せん・封筒・筆記用具などの実費のみとなります。
便せんとして最も格式が高く伝統的なのは「奉書紙」ですが、一般的な便せんでも問題はありません。
便せんの枚数は、1枚に収めるのが望ましいとされています。
封筒は、必ず一重のものを使用します。二重封筒は、不幸が重なることを連想させるため、弔事では使わないようにしましょう。
色は白色を選ぶのが無難です。茶封筒は事務的な印象を与えるため避けるべきとされています。
また、お礼状は、はがきで送っても問題はありません。
はがきを使う場合は、柄のない白色の弔事用のはがきを選びましょう。
法事・法要のお礼状に記載する内容

法事・法要のお礼状には、以下の内容を記載します。
①:頭語と結語
②:法要が無事終了したことの報告
③:参列・香典・お供え・供花への感謝の言葉
④:略儀であることへのお詫び
⑤:今後の変わらぬお付き合いをお願いする言葉
⑥:日付・住所・喪主の名前
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
①:頭語と結語
お礼状の書き出しには頭語を、結びには結語を用います。
最も一般的な組み合わせは、「拝啓」で始まって「敬具」で結ぶ形です。
「拝啓」は「謹んで申し上げます」という意味合いを持ち、相手に敬意を払ってお辞儀をするニュアンスを含んでいます。
一方「敬具」は「謹んで申し上げました」という意味で、文章を締めくくる役割があります。
頭語と結語はセットで使うのがルールであり、文頭に「拝啓」を使用しない場合は、結語の「敬具」も不要です。
なお、通常の手紙では時候の挨拶を入れますが、法事・法要のお礼状においては省略するのが一般的です。
②:法要が無事終了したことの報告
頭語に続いて、法要が無事に終了したことを伝えます。
「参列してくださった方々のおかげで、滞りなく法要を営むことができた」という感謝の気持ちを込めて報告しましょう。
代表的な文例は、以下のとおりです。
| ・お陰をもちまして四十九日法要を営めました
・おかげさまで四十九日法要を滞りなく営むことができました |
香典返しなどの返礼品をお礼状と一緒に送る場合は、その旨も書き添えます。
「心ばかりの品物をお送りいたします」のような一文を加えるとよいでしょう。
ただし、香典返しを送らないケースでは、この文言は不要です。
③:参列・香典・お供え・供花への感謝の言葉
法要が無事に終わった報告の次には、参列してくださったこと、または香典・供え物・供花などをいただいたことに対する感謝の言葉を述べます。
一般的な表現は、以下のとおりです。
| 故○○○○儀○○法要に際しましては 御多用中のところ ご鄭重なる御厚志を賜り心より厚く御礼申し上げます |
特に親しかった方へ送るお礼状であれば、定型文に加えて、オリジナルの言葉を少し添えてもかまいません。
オリジナルの内容を添える場合、多少くだけた文体でも許容される場合があります。
④:略儀であることへのお詫び
お礼状の終わり近くには、本来は直接お礼を申し上げるべきところを、書面という略式な形で済ませることに対するお詫びの言葉を添えます。
一般的な表現は以下のとおりです。
| 本来ならお目にかかり御礼申し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます |
現代では、特に親しい間柄の場合、電話やメールなどでお礼を伝えるケースも増えてきています。
しかし、目上の方へは、正式な書面でのお礼状を送るのが礼儀にかなっているといえるでしょう。
⑤:今後の変わらぬお付き合いをお願いする言葉
お詫びの言葉に続いて、今後とも変わらぬお付き合いをお願いする旨を伝えます。
これまでの心遣いに対する感謝の気持ちを改めて述べるとともに、今後もよい関係を続けていきたいという思いを込めます。
文例は、以下のとおりです。
| 御厚情に感謝申し上げますとともに 今後も変わらぬご厚誼を賜りますよう 宜しくお願い申し上げます |
「ご厚誼(ごこうぎ)」は、親しいお付き合いや心からの親交を意味する言葉です。
この一文で、相手への感謝と今後の良好な関係を願う気持ちを伝えます。
⑥:日付・住所・喪主の名前
結語である「敬具」の後には、お礼状を送付する日付・差出人である喪主の住所・喪主の氏名を記載します。
日付は、元号から「令和○年○月○日」のように記載するのが一般的です。
住所は、郵便番号を記載してもしなくてもどちらでも構いません。
喪主名はフルネームで記載し、必要に応じて「親族一同」と書き添える場合もあります。
封筒の表面・裏面の書き方

お礼状を入れる封筒の書き方にもマナーがあります。
封筒の表面には、基本的に「ご挨拶」とだけ記載します。
何も書かずに白紙のままというケースも見られますが、ほとんどの場面では「ご挨拶」と書くのが一般的です。
相手の住所や氏名については、香典返しの品物と一緒にお礼状をお渡しする場合、書く必要はありません。
ただし、香典返しを添えたお礼状を複数準備する際、誰に宛てたものか分からなくならないための工夫として記入するケースはあります。
封筒の裏面には、差出人である喪主の住所と氏名を記載します。
故人に関する情報は、お礼状の本文中に記載するため、封筒の裏面には書く必要はありません。
もし、香典返しの品物の送り状や、お礼状の本文中に喪主の住所を明記している場合は、封筒裏面の住所記載を省略し、氏名のみを書いても差し支えありません。
お礼状の封筒への入れ方

お礼状を封筒に入れる際にも、決まりがあります。
便せんに書いた手紙の場合、一般的な手紙の入れ方と同様です。
- 手紙の本文が書かれた面を内側にして、三つ折りにする
- 相手が封筒から取り出して開いたときに、書き出しの文頭が最初に見えるように向きを整える
具体的には、便箋の文頭が封筒の裏面の上部にくるようにして入れます。
奉書紙を使用する場合も、折り方と考え方は基本的に同じです。
奉書紙は横長の和紙のため、文末側から内側に折り進めていき、相手が開いたときに文頭が最初に見えるようにします。
はがきタイプやカードタイプのお礼状の場合は、封筒に入れる必要はありません。そのまま郵送します。
【状況別】法事・法要のお礼状の例文

法事・法要のお礼状の例文を、以下のパターンに分けて紹介します。
- 四十九日法要後(忌明け)のお礼状
- お供・供花・香典のみ頂いた方へのお礼状
- 法要にお呼びしなかった方へのお礼状
- 家族のみで法要を行った場合のお礼状
- 一周忌・三回忌など年忌法要のお礼状
- 初盆・新盆法要のお礼状
- メールで報告する場合
- 神式の法要のお礼状
- キリスト教の法要のお礼状
状況に合わせて参考にしてみてください。
四十九日法要後(忌明け)のお礼状
四十九日法要が無事終了したことを伝えるお礼状の文例は、以下のとおりです。


お供・供花・香典のみ頂いた方へのお礼状
お供えや香典をいただいた方へ送るお礼状の文例は、以下のとおりです。

香典や供物への返礼品については、以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
| 【関連記事】 |
法要にお呼びしなかった方へのお礼状
法要へお呼びしなかった方へ、滞りなく儀式が済んだことを報告する際の例文は、以下のとおりです。

家族のみで法要を行った場合のお礼状
家族のみで法要を行った場合のお礼状の文例は、以下のとおりです。

一周忌・三回忌など年忌法要のお礼状
回忌法要が終了したことを伝えるお礼状の文例は、以下のとおりです。

回忌法要の場合、必須ではありませんが、遺族の近況を伝えるのもおすすめです。
初盆・新盆法要のお礼状
故人が逝去されてから初めて訪れるお盆を「初盆」「新盆」といいます。
初盆法要のお礼状の文例は、以下のとおりです。

メールでお礼する場合
メールでお礼をする場合の文例は、以下のとおりです。

メールは正式な手段ではないため、送る相手に注意が必要です。
メールを用いる際は、故人だけでなく遺族とも親しい関係であったり、取り急ぎお礼が必要な場合にとどめましょう。
神式の法要のお礼状
神式の法要のお礼状の文例は、以下のとおりです。


「偲び草」とは、仏教で言う「香典」に該当します。
(※本記事では、わかりやすいよう赤文字にしていますが、本来は黒文字で記入します)
キリスト教の法要のお礼状
キリスト教における法要のお礼状の文例は、以下のとおりです。


「偲び草」とは、仏教で言う「香典」に該当します。
(※本記事では、わかりやすいよう赤文字にしていますが、本来は黒文字で記入します)
【Q&A】法事・法要のお礼状に関してよくある質問

法事・法要のお礼状に関してよくある質問をまとめました。
| Q.引き出物にも礼状を添えたほうがいいですか?
Q.お返し不要と言われた方へのお礼状はどうすればいいですか? |
ひとつずつ回答します。
Q.引き出物にも礼状を添えたほうがいいですか?
A.法要当日に手渡しする引き出物には、別途お礼状を添える必要はありません。
引き出物は、参列してくださった方々へ感謝の気持ちを込めて当日お渡しするものです。
その場で一人ひとりにお礼の言葉を直接伝えるほうが自然です。
Q.お返し不要と言われた方へのお礼状はどうすればいいですか?
A.お相手の意向を尊重し、香典返しなどの品物は送らないのが通例です。
感謝の気持ちを伝えるため、お礼状だけ送りましょう。
品物を送らない場合でも、感謝の気持ちはしっかりと伝えるのが大切です。
まとめ:基本的なマナーを守って法事・法要のお礼状を送りましょう

法事・法要のお礼状は、無事に終了したこと、または供花・供物・香典を送ってくれたことへの感謝を伝えるための書状です。
忌み言葉を避けるなどの言葉遣い・本文の内容・封筒の選び方など、基本的なマナーを守り、丁寧にお礼を伝えましょう。
お礼状は、手書きでも印刷でもかまいません。
本記事を参考に、心のこもったお礼状を準備し、大切な方々へ感謝の気持ちを届けてみてください。
