「法事・法要の案内状には、何を書けばいいの?」
「いつ送るのがベスト?」
法事・法要を執り行う際、参列していただきたい方々に案内状を送付します。
案内状には、記載するべき内容・定型文・避けるべき言葉など、さまざまなマナーが存在します。
参列者に失礼がないよう、前もって法事・法要の案内状のマナーを把握しておくのが大切です。
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<この記事でわかること> ・法事・法要の案内状に記載する内容 ・法事・法要の案内状の形状 ・法事・法要の案内状を書く際のマナー |
法事・法要とは|執り行う意味・目的

法事・法要とは、故人がよりよい世界へ生まれ変われるよう、遺族・親族・親しかった友人・知人がお祈りする儀式です。
宗派によって捉え方に多少の違いがありますが、故人の冥福を祈り、供養するという点は共通しています。
なお、「法事」と「法要」は同じ意味として使われていますが、厳密には意味が異なります。
| 法事 | 僧侶による読経や法話など、故人を供養するための宗教的な儀式そのものを指す |
|---|---|
| 法要 | 法要に加えて、その後の会食まで含めた一連の行事全体を意味する場合が多い |
法事・法要には、2つの種類が存在します。
- 故人が亡くなってから日数を区切って行われる「忌日法要」
- 命日から年単位で営まれる「年忌法要」
忌日法要として代表的なのが、初七日・四十九日・百箇日法要です。
年忌法要の場合、一周忌・三回忌・七回忌・十三回忌・二十三回忌・三十三回忌…と定期的に続いていきます。
忌日法要や年忌法要のほか、春と秋のお彼岸・お盆(新盆・初盆を含む)にも、故人を供養するための法要が営まれます。
法事の規模は回数を経るごとに縮小し、内輪で営まれるようになるのが一般的です。
法事・法要の案内状を送る目的

法事・法要の案内状は、法要の開催を知らせたり、会食の出欠を確認するために送ります。
特に、四十九日・一周忌・三回忌といった節目となる法要の際、参列をお願いする意味合いで送るのが一般的です。
案内状には返信用はがきを同封します。参列者の人数を確認し、引き出物や会食の準備をスムーズに行うために必要です。
法事・法要の案内状の記載内容

法事・法要の案内状に記載する内容は、ある程度決められています。
- ①:頭語(結語)
- ②:時候の挨拶
- ③:相手を気遣う言葉
- ④:誰の何回忌か
- ⑤:日時と場所
- ⑥:会食の有無
- ⑦:差出人の名前・住所・連絡先
- ⑧:出欠確認の文言
それぞれの内容を解説します。
①:頭語(結語)
案内状の書き出しには、頭語と結語を用います。一般的な頭語と結語は、以下のとおりです。
- 頭語:謹啓、結語:謹白
- 頭語:拝啓、結語:敬具
省略しても問題はありませんが、丁寧な印象を与えたい場合には、書き添えるのが無難です。
どれを書くか迷う場合は、「謹啓・謹白」の組み合わせを選びましょう。
「拝啓・敬具」よりも「謹啓・謹白」のほうが丁寧な言い方のためです。
②:時候の挨拶
頭語に続いて、季節を表す「時候の挨拶」を書きます。
たとえば、冬であれば「寒風の候」「厳寒の折から」といった表現などです。
季節に応じて適切な時候の挨拶を使用しましょう。
| 代表的な時候の挨拶 | |
|---|---|
| 1月 | 寒中の候・厳冬の候・大寒の候 |
| 2月 | 残寒の候・梅花の候・春寒の候 |
| 3月 | 弥生の候・浅暖の候・春暖の候 |
| 4月 | 陽春の候・春和の候・春爛漫の候 |
| 5月 | 新緑の候・緑風の候・若葉の候 |
| 6月 | 深緑の候・青葉の候・向暑の候 |
| 7月 | 盛夏の候・小暑の候・盛夏の候 |
| 8月 | 残暑の候・晩夏の候・残暑の候 |
| 9月 | 爽秋の候・涼風の候・秋涼の候 |
| 10月 | 清秋の候・秋晴の候・錦秋の候 |
| 11月 | 霜寒の候・冷雨の候・向寒の候 |
| 12月 | 寒冷の候・初冬の候・師走の候 |
③:相手を気遣う言葉
時候の挨拶の後には、相手の健康や生活を気遣う言葉を添えます。
以下の表現が一般的です。
| ・皆様におかれましてはご清祥のことと存じます
・皆様におかれましてはご清栄のことと拝察いたします ・いかがお過ごしでしょうか |
④:誰の何回忌か
案内状には、以下の事項を記入します。
- 故人の名前
- 法要の種類
なお、回忌法要は「一周忌」が1年後であり、それ以降の「三回忌」「七回忌」などは数え年で表現します。
誤りのないよう注意しましょう。
⑤:日時と場所
法要の具体的な日時と場所は、必ず記載します。
開催年月日・曜日・開始時間のほか、会場の正式名称と詳しい住所を明記します。
特に、初めて利用する会場や自宅以外で執り行う場合には、地図や連絡先を添えると親切です。
緊急時のため、喪主の電話番号も記載しておきましょう。
⑥:会食の有無
法要後に会食があるかどうかも記入します。
法要会場と会食の会場が異なる場合は、会食の有無に加えて、会場名や住所も書き添えると丁寧です。
反対に、会食を行わない場合は、あえて記載しなくても差し支えありません。
⑦:差出人の名前・住所・連絡先
案内状の最後には、差出人である喪主(施主)の名前を記載します。
一般的には代表者1名の氏名ですが、夫婦や兄弟連名としても問題はありません。
住所や電話番号、メールアドレスを記しておくと、出欠連絡や問い合わせがスムーズに行えます。
⑧:出欠確認の文言
法要準備の都合上、出欠確認は必須です。
返信先の住所を明記したうえで「○月○日までにご返信ください」と返信期限を設けましょう。
返信用はがきを同封する場合は、返信先住所を記載する必要があります。
往復はがきを使用する場合は、返信先の住所は必要ありません。
法事・法要の案内状の形状

法事・法要の案内状の形状として一般的なのは、以下のパターンです。
- 封筒+シングルカード+返信用はがき
- 封筒+ダブルカード(二つ折りはがきサイズ)+返信用はがき
- はがき単体
- 往復はがき
より丁寧なのは封筒に入れる方法ですが、はがきだけでも失礼にはあたりません。
なお、近年は往復はがきを利用するケースが一般的になってきています。
往復はがきは案内状と返信はがきが一体となっているため、受け取った側も返信しやすく、送る側も管理がしやすい利点があります。
法事・法要の案内状を書く際のマナー

法事・法要の案内状を書く場合は、以下のマナーに配慮しましょう。
- 縦書きで記入する
- 句読点は使用しない
- 行頭は1文字あけなくてよい
- 忌み言葉・重ね言葉を使わない
- 故人の表記に注意する
- 宗教・宗派の言葉遣いに配慮する
- 遅くても1カ月前に届くよう手配する
- 回忌によって送る範囲が異なる
- 封筒は白無地のものを用意する
- 切手は弔事用を使用する
それぞれのマナーを解説します。
縦書きで記入する
法事・法要の案内状は、基本的に縦書きで作成します。
公式な文書は昔から縦書きを用いていた歴史があり、法事のように格式を重んじる場では、今も伝統が大切にされているためです。
近年では横書きの案内状も見られるようになっていますが、やはり縦書きがふさわしいとされています。
句読点は使用しない
法事・法要の案内状には、句読点を使用しません。
「、」や「。」の代わりに、一文字分の空白を空けて文章を区切ります。
句読点を使用しない理由は諸説ありますが、有力なのは「法事・法要が滞りなく進みますようにとの願いを込めている」という説です。
行頭は1文字あけなくてよい
通常の縦書き文書では、行の初めに一文字分の空白を入れる「字下げ」がされます。
しかし、法事・法要の案内状では字下げは不要です。
すべての行が横一列にそろうように記入します。
忌み言葉・重ね言葉を使わない
法事・法要の案内状に限らず、弔事関連の書状には「忌み言葉」「重ね言葉」を使用しません。
「忌み言葉」とは、縁起の悪さを連想させる言葉を言います。
たとえば、「死」を連想する「4」や、「苦」を連想する「9」が該当します。
「重ね言葉」とは、同じ音が連続する言葉です。
「くれぐれも」「たびたび」などが該当し、不幸の連続を感じさせるため、使うべきでないとされています。
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故人の表記に注意する
法事・法要の案内状には、故人のことを以下のように記載します。
| 故○○○○(故人の名前)儀 |
自分や身内に対しての丁寧な言いまわしとして使われる言葉です。
また、「故」と「亡」も文脈によって使い分けます。
「亡」は続柄とともに「亡父○○○○儀」のように用います。
宗教・宗派の言葉遣いに配慮する
宗教や宗派によって、使用してよい言葉と避けるべき言葉が異なります。
たとえば、浄土真宗では「戒名」という表現は使わず「法名」に言い換える必要があります。
また、神式では「供養」「冥福」のような仏教用語は適しません。
キリスト教でも仏教用語は使用しないのがマナーです。
法事・法要の案内状を作成する際には、故人の宗教・宗派に合わせた、適切な言葉を選びましょう。
遅くても1カ月前に届くよう手配する
法事・法要の案内状は、出欠の確認や準備の都合を考え、遅くとも1カ月前には相手に届くように手配するのが理想です。
特に四十九日法要などは、亡くなってから2カ月以内に行うため、余裕を持った準備が求められます。
回忌によって送る範囲が異なる
法事・法要の案内状を送る相手は、法要の種類によって異なります。
一般的には、三回忌までは広くお声がけをし、以降は規模を縮小していく傾向があります。
三回忌までの主な送付先は、以下のとおりです。
- 親族や故人と特に親しかった方
- 血縁が遠くても生前に深い関わりがあった方
高齢の方や遠方に居住している方など、参加が難しそうな方には、本人の意向を確認したうえで配慮するのも大切です。
封筒は白無地のものを用意する
法事・法要の案内状は、白無地の封筒に入れて送るのが礼儀とされています。
二重封筒は「不幸が重なる」ことを連想させるため避けましょう。
最近では簡略化の流れもあり、往復はがきでの送付も増えています。
より丁寧な印象を与えたい場合は、封筒付きの挨拶状と返信用はがきを使うのが適切です。
封筒に入れる際は、案内状の表が封筒の表に重なるようにし、左側を上にして入れます。
切手は弔事用を使用する
案内状を送る際は、弔事用の切手を使用するのが理想です。弔事用の切手は、郵便局で購入できます。
必ずしも弔事用の切手を使う必要はありませんが、キャラクターものや、祝い事用の記念切手などは避けましょう。
【状況別】法事・法要の案内状の文例集

法事・法要の案内状の文例を、以下の状況に分けて紹介します。
- 四十九日法要
- 年忌法要
- 新盆・初盆
- 併修・合斎
- 神式の法事・法要
- キリスト式の法事・法要
今後執り行う法要に合わせて、参考にしてみてください。
四十九日法要
四十九日法要の案内状の文例は、以下のとおりです。


年忌法要
年忌法要の案内状の文例は、以下のとおりです。本記事では、例として一周忌の場合を紹介します。

新盆・初盆
故人が亡くなられてから初めて訪れる新盆・初盆法要の案内状の文例は、以下のとおりです。

併修・合斎
併修・合斎とは、異なる故人の年忌法要が同じ年にある場合、2つ以上の法要を同時に行う方法をいいます。
併修・合斎の案内状は以下のとおりです。

神式の法事・法要
神式の法事・法要の案内状の文例は、以下のとおりです。

キリスト式の法事・法要
キリスト式の法事・法要の案内状の文例は、以下のとおりです。


電話やメールなどで法事・法要の案内をする場合

法事・法要の案内状は、郵送するのが正式な方法ですが、現代では状況に応じて電話・メール・LINEなどで案内をするケースも見られます。
略式な方法であるため、どのような場合に利用できるのか、注意点と合わせて解説します。
電話やメールでの連絡が許容されるケース
電話・メール・LINEなどで連絡してもよいのは、特に親しい親戚・知人・故人の子ども・孫といった間柄です。
実際に、こうした身近な方へは、改まった案内状を送付しない傾向も見られます。
葬儀や以前の法事・法要などで集まった際に、次回の法要の日程がすでに決まっており、その場で共有されている場合も同様です。
電話やメールで連絡する際の注意点
電話で連絡する場合、日時や場所などの重要な情報を聞き間違えてしまうリスクがあります。
聞き間違いを防ぐため、復唱して確認するなどの工夫をしましょう。
メールやLINEなどを利用する場合は、そうしたツールをあまり使わない方や苦手な方への配慮も必要です。
相手が日常的に使っている連絡手段かを確認し、場合によっては郵送の案内状との使い分けも検討しましょう。
メールで案内を送る際は、郵送の案内状と同様に、以下の情報を記載します。
- 誰の何回忌法要か
- 日時・場所・会食の有無
- 出欠の確認
文面は、送信する相手との関係性に応じて、くだけた調子に調整しても構いません。
メールで連絡する際の文例
メールで連絡する際の文例は、以下のとおりです。

法事・法要の案内状の作成費用

法事・法要の案内状は、以下のサービスで作成を依頼できます。
- 葬儀社
- 仏壇仏具店
- 法要後の会食を手配する料理業者
- 香典返しなどの返礼品を扱う業者
最近ではインターネット上の印刷サービス業者に依頼する選択肢も増えています。
案内状の費用は、はがき・往復はがき・封筒に返信用はがきを同封するかなど、選ぶ形式によって異なります。
一般的には、10枚・3,000円〜で設定している業者が多い傾向です。
パソコンやプリンターの扱いに慣れているのであれば、自宅のプリンターで自作してもよいでしょう。
まとめ:マナーを守りつつ心を込めて法要の案内状を準備しましょう

法事・法要を執り行う際は、参列をお願いする方々へ案内状を送付します。
記載内容・適切な言葉遣い・送付するタイミングなど、さまざまなマナーが存在するため、前もって把握しておくのが大切です。
参列いただく方に失礼がないよう、本記事を参考に案内状の準備を進めてみてはいかがでしょうか。
