「法要後の食事って何のためにするの?」
「必ず食事の場所を用意しなければならない?」
「食事の費用や、準備するべきこと、当日の流れを知りたい」
初めて自分たちだけで法要の段取りをする喪主で「食事の準備は何をいつから始めればいいのか」と慌ててしまう方は少なくありません。
葬儀スタッフが諸々を案内・手配してくれる葬儀と異なり、法要は喪主や遺族が自ら動かなければなりません
法要間近になって「料理の予約ができていない」「食事会場が空いていない」ということがないよう、早めの準備が大切です。
本記事では、初めての法要でも迷わず食事の準備ができるよう、食事の場を設ける意味・費用・会場の種類・当日の流れなどをまとめて解説します。
法要を控えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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<この記事でわかること> ・法要のあとに食事をする意味・目的 ・法要後の食事に必要な費用 ・法要後の食事をする場所の種類 ・適切な食事の内容やNGな料理の種類 ・法要後の食事の準備内容 ・法要当日の食事の流れ |
なぜ法要のあとに食事をする?意味・目的・由来を紹介

法要を執り行ったあとに、食事の席を設けることがありますが、法要後に食事を用意する理由をご存じでしょうか。
本章では、法要後の食事に関する以下の内容を解説します。
- 僧侶や参列者への感謝を伝えるために用意する
- 食事の席を含めた行事全般を「法事」という
- 近年は法要後の食事を省略するケースも増えている
ひとつずつ見ていきましょう。
僧侶や参列者への感謝を伝えるために用意する
法要後の食事の席を「お斎(おとき)」と言います。お斎をする目的は主に2つあります。
- 供養のために足を運んでくれた僧侶や参列者に感謝を伝えるため
- 親族や縁者が集い、故人の思い出を語り合いながら絆を深めるため
「お斎」は、仏教の戒律である「斎食(さいじき)」が由来です。
「斎食(さいじき)」とは、出家した方が正午までに食べる食事を意味します。
現代では法要後の食事を指す言葉として使われるのが一般的です。
似た言葉に「精進落とし」や「精進明け」がありますが、2つには以下の違いが見られます。
| 精進落とし・精進明け | 49日までの法要後の会食 |
|---|---|
| お斎 | 精進落としを含めた法要後の会食全般 |
お斎は、法要後に用意する食事全般を示すため、精進落としも含まれます。
食事の席を含めた行事全般を「法事」という
「法要」と似た言葉に「法事」があります。同じ意味として使われるケースが多いですが、本来は以下の違いがあります。
| 法要 | 僧侶の読経や焼香といった仏教儀式 |
|---|---|
| 法事 | 法要後の会食も含めた一連の行事 |
法要は「法事」という行事の一部に含まれます。
そのため「法事に参列する」と言えば、法要後の会食までの参加を意味します。
しかし、厳密に使い分ける必要はなく、会食まで参加する際に「法要に参列する」と言っても問題はありません。
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近年は法要後の食事を省略するケースも増えている
法要後の食事(お斎)は、必ずしも用意する必要はありません。
近年は、以下のような事情から法要のみで済ませるケースも増えているためです。
- 遠方からの参列者が多い
- 高齢の親族が多いため体力面を考慮して
- 喪主や遺族自身の負担を軽減したい
- 家族のみで小規模な法要であるため
また、会食はしないものの、お弁当を返礼品と一緒に渡す形式も一般的になっています。
しかし、親族や参列者のなかには慣習として大切にしている方もいるため、省略する場合は事前に食事をしない旨を伝え、理解を得ておく配慮が必要です。
法要後の食事に必要な費用は3,000〜10,000円

法要後の食事にかかる費用の種類は大きく分けて2つあります。
- 1人あたりの食事の相場は3,000〜10,000円
- 僧侶に渡す「御膳料」は5,000〜10,000円
それぞれの費用について見ていきましょう。
1人あたりの食事の相場は3,000〜10,000円
法要後の食事にかかる費用は、一人あたり3,000〜5,000円が一般的です。
料理の内容が豪華になると10,000円を超える場合もあり、会場によっても多少変動します。
| 会場 | 相場 |
|---|---|
| ホテル | 8,000〜12,000円ほど |
| 料亭・レストラン | 5,000〜10,000円ほど |
| 葬儀会館・霊園 | 5,000〜10,000円ほど |
| 自宅(仕出し弁当の場合) | 3,000〜5,000円ほど |
一般的には、仕出し弁当にしたほうが、会食をするよりも安く済む傾向にあります。
僧侶に渡す「御膳料」は5,000〜10,000円
僧侶が法要後の食事を辞退された場合には「御膳料」として、食事の代わりにお金を包んでお渡しします。
御膳料の相場は、5,000〜10,000円ほどです。事前に用意しておき、法要の際にお布施と一緒にお渡しします。
御膳料の用意方法は、以下の表を参考にしてみてください。
| 封筒 | 白無地の封筒 |
|---|---|
| 表書き | 上半分:御膳料
下半分:喪主のフルネーム、または「○○家」 |
| 裏面 | 右上:包んだ金額を大字で記入。頭に「金」、末尾に「也」と書く
左下:喪主の住所・氏名・電話番号 |
| 筆記用具 | 筆ペン、またはサインペン |
より詳しい包み方や渡し方、御膳料のほかに用意する「お布施」「お車代」については、以下の記事をご覧ください。
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法要後の食事をする場所

法要後の食事会場としてよく使われる場所が、以下の4つです。
- ホテル
- 料亭・レストラン
- 葬儀会館・霊園
- 自宅
それぞれの場所の特徴・メリット・デメリットを見ていきましょう。
ホテル
| ホテルのメリット・デメリット | |
|---|---|
| メリット | ・格式高い雰囲気のなかで食事ができる
・遠方からの参列者がそのまま宿泊できる ・アレルギーや食事形態などの相談がしやすい |
| デメリット | ・ほかの方法と比較して費用が高い傾向 |
お寺や会館など別会場で法要をしてから移動してもよいですし、ホテル自体が法要に対応している場合もあります。
予約の際には、法事プランの有無を確認しておくとスムーズです。
料亭・レストラン
| 料亭・レストランのメリット・デメリット | |
|---|---|
| メリット | ・料理のレパートリーが豊富
・個室でゆっくりと食事ができる ・ホテルより料金が抑えられる傾向 |
| デメリット | ・早めに予約しないと席が埋まる可能性がある
・法要会場から移動する必要がある |
料亭やレストランは、法要後の食事の場所としてよく選ばれます。
選択肢によっては、故人が好きだったジャンルの料理を選べるのもメリットのひとつです。
ただし、会場からの移動が必要なため、参列者の年齢や人数によってはバスやタクシーを手配するなどの配慮が必要です。
葬儀会館・霊園
| 葬儀会館・霊園のメリット・デメリット | |
|---|---|
| メリット | ・法要会場からの移動距離がほぼない
・仏教行事に関する知識が豊富なスタッフが対応する |
| デメリット | ・料理のコースの種類が少ない傾向
・アクセスが不便な場合がある |
葬儀社が運営する葬儀会館や霊園などの中には、法要後の食事会場として利用可能な施設があります。
葬儀会館・霊園で法要をして、そのまま食事をする場合が多いため、高齢の方や小さなお子さんの負担を軽減できます。
一方で、料理のコースが決まっており選択肢が少ない場合や、葬儀会館や霊園までのアクセスが不便な場合があります。
葬儀会館・霊園を利用する場合は、前もって料理の内容や公共交通機関でのアクセス方法などを確認しておくのがおすすめです。
自宅
| 自宅のメリット・デメリット | |
|---|---|
| メリット | ・慣れ親しんだ自宅で食事や故人の思い出話ができる
・移動する必要がないため、高齢の参列者の負担軽減になる ・小さなお子さんがいる場合、臨機応変に対応できる ・選択肢のなかで、最も費用を抑えられる |
| デメリット | ・準備から後片付けまでを喪主や遺族がする必要がある |
近年は少なくなっていますが、自宅で法要をしたあと、そのまま食事をする場合もあります。
故人や親族が慣れ親しんだ場所で供養でき、アットホームな雰囲気で執り行えるのがメリットです。
一方で、料理の準備・配膳・後片付けなど、喪主や遺族の負担が大きくなるデメリットがあります。
法要後の食事の内容やNGな食材・料理

法要後の食事では、会席料理や松花堂弁当のような和食を選ぶのが一般的です。
一昔前は精進料理が主流でしたが、近年は故人が好きだった洋食や中華料理を取り入れるケースも多く見られます。
自宅で行う場合は、仕出しやケータリングを利用すると、準備の負担を軽減できます。
喪主や遺族で食事を作る場合は、黒飯・筑前煮・おひたし・香の物・お吸い物などが一般的です。
飲み物については、ソフトドリンクのほかに、ビールや日本酒などのアルコール類を用意します。
一方で、お祝い事を連想させる以下の食材や料理は法要後の食事に相応しくないため、避けましょう。
- 伊勢海老や鯛
- 紅白もの
なお、地域によっては独自のルールがあるため、その土地に詳しくない場合は、お寺・葬儀社・親族に確認しておくと安心です。
法要後の食事のための準備内容

法要後に食事の場を設けるための準備内容は、以下のとおりです。
- 僧侶へ食事に参加するか聞いておく
- 案内状を送付して出欠を確認する
- 食事の会場や料理の内容を決める
- 食事会場での席順を決める
- 参列者への引き出物を用意する
- 進行役や挨拶する人を決めておく
食事の準備は、遅くても2カ月前から始めておきましょう。
法要の日が近づいてきてから準備をはじめると、食事会場の予約が取れない可能性があるためです。
余裕を持ちたい場合は、3カ月前から動いておくのがおすすめです。
僧侶へ食事に参加するか聞いておく
前もって法要後の食事に参加されるかどうかを確認しましょう。
お声がけするタイミングは、法要の依頼をする際がスムーズです。
聞いておく時間がなければ、法要当日に声をかけても問題ありませんが、その場合、僧侶の食事も用意しておく必要があります。
僧侶が食事を辞退された場合は、「御膳料」として食事の代わりとなる金銭を用意しておきます。
参列案内状を送付して出欠を確認する
法要に参列していただく方々に案内状を送付し、その後の食事に参加する人数を確認します。
案内状に記載する内容は、以下のとおりです。
- 法要の日時と場所
- 何回忌目の法要か
- 食事会を行う旨
出欠の返信期限を設け、返信用のハガキまたは往復ハガキを送付すると、参列者も返信しやすくなります。
近年では、親しい間柄であれば電話やメールで連絡し、出欠を確認するケースもあります。
法要の案内状の書き方や文例は、以下の記事を参考にしてみてください。
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食事の会場や料理の内容を決める
人数が決まったら、食事の会場や料理の内容を決めます。
参加人数・予算・アクセスの利便性・駐車場の有無などを総合的に考えて、最適な場所を選びましょう。
自宅以外を会場とする場合は、予約を取る際に法要後の食事であると伝えるのが大切です。
また、以下の参列者がいる場合は、前もって対応可能か確認しておきましょう。
- アレルギーを持つ方
- 年齢の低いお子様
年齢が低いお子様の場合、会席料理や仕出し弁当に慣れておらず、食べられるものがない場合があります。
そのため、小さなお子様でも食べられるメニューがあるか聞いておくと安心です。
食事会場での席順を決める
会場が決まったら、食事の席順を決めておきましょう。一般的な法要後の食事の席順は、以下のとおりです。
<一般的な席次>
- 最上席:僧侶
- 僧侶の隣:喪主
- 上座:親族の年長者から順に
- 末席:遺族
僧侶が出席されない場合は、故人と縁の深い親族や年長者が上座に座るのが一般的です。
席札を用意しておくと当日の案内がスムーズになり、参列者も迷わずに着席できます。
ただし、親しい親族や家族のみの場合は、席順を気にせず座るケースも多く見られます。
また、地域によっては四十九日法要の前後で席順が変わる場合もあるため、前もって確認しておくと安心です。
参列者への引き出物を用意する
法要に参列していただいた方へお渡しする引き出物の用意も必要です。
引き出物には「消えもの」と呼ばれる消耗品を用意します。一般的な品物は、以下のとおりです。
- お茶
- 海苔
- お菓子
- 洗剤
持ち帰りの負担にならないよう、軽くて日持ちするものを選びましょう。
引き出物には、白黒の結び切りの水引がついたのし紙をかけ、表書きは「志」や「粗供養」などとします。
なお、北海道では「志」を使用する地域がほとんどです。
渡すタイミングは、食事が終わってお開きの際や、お見送りの時が一般的です。
なお、以下の品物はおめでたい席で用いられるもののため、法要の引き出物として不適切とされています。
- 昆布や鰹節
- お酒のセット
進行役や挨拶する人を決めておく
当日の進行役や、献杯の挨拶を誰にお願いするかを決めておきましょう。
献杯の挨拶を担当するのは、喪主でもよいですし、親族や故人の友人でも問題はありません。
遠方からの参列者がいる場合は、宿泊施設の手配をする準備も必要です。
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法要当日の食事の流れ

法要後の食事(お斎)に決まった式次第はありませんが、基本的には下記の流れで進みます。
- 法要が終わったら食事会場へ移動
- 喪主は参列者を席へ案内し、僧侶が出席される場合は上座へ通す
- 全員が着席したら、開式の挨拶をし、献杯を行う
- 食事(お斎)の開始
- 一段落した頃合いで、お開きの挨拶をする
- 引き出物をお渡しする
- お見送りをして終了
食事(お斎)は2時間程度が目安です。
僧侶がお斎に参加されない場合は、法要の開始前または終了後にお布施と一緒に御膳料を渡しておきましょう。
引き出物は手渡しでもよいですし、各参列者の御膳の横に置いておく方法もあります。
食事の際は法要のときに着用している喪服のままでよい

服装については、基本的には法要に参列した際の服装のままで問題ありません。
男性はダークスーツ、女性は黒や紺などの地味な色の服装が適しています。
学生の場合は制服で構いません。
もし着替える場合でも、派手な服装は避け、落ち着いた色合いのものを選びましょう。
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法要後の食事の挨拶

法要後の食事では、開始前後に喪主からの挨拶が必要です。本章では、以下の状況に分けて挨拶の例文を紹介します。
- 一般的な法要の場合の挨拶
- 家族・親族のみの場合の挨拶
ご自身の立場にあてはめて参考にしてみてください。
一般的な法要の場合の挨拶
法要後の食事で挨拶するタイミングは2つあります。
- 食事の開始時
- 食事の終了時
それぞれの文例は以下のとおりです。
| 食事の開始時 |
|---|
| 本日はお忙しいなか、亡き母のためにお集まりいただき、誠にありがとうございます。
おかげさまで、無事に四十九日法要を終えることができました。 ささやかではございますが、お食事をご用意いたしました。 亡き母の思い出話をお伺いできれば幸いです。 短い時間ではございますが、どうぞごゆっくりお過ごしください。 それでは、献杯とご唱和をお願いいたします。献杯。 |
| 食事の終了時 |
|---|
| 本日はお忙しいなか最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
懐かしい話を聞けて、亡き母も喜んでいると思います。 お名残惜しくはありますが、これにてお開きとさせていただきます。 ささやかですが、お手元にお礼の品を用意しております。 本日は誠にありがとうございました。お気をつけてお帰りください。 |
いずれの挨拶も、長くなりすぎないように簡潔にまとめるのがポイントです。
また、食事を含めた法要に関する挨拶の例文は、以下の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてください。
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家族・親族のみの場合の挨拶
家族や親族のみの場合は、一般的な挨拶よりも少しくだけた挨拶でも構いません。
開始の挨拶では、堅苦しい言葉遣いを避け、リラックスして食事を楽しんでほしい旨を伝えるとよいでしょう。
献杯の挨拶も、故人とのエピソードなどを交えながら行うと、より温かい雰囲気になります。
お開きの挨拶では、無事に法要と食事が終わった感謝と、今後も家族・親族のつながりを大切にしていきたいという思いを伝えるのがおすすめです。
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まとめ:法要後の食事は故人を偲び参列者に感謝を伝えるための場所

法要後の食事(お斎)は、故人を偲び、集まっていただいた参列者へ感謝の気持ちを伝えるための大切な場です。
当日は、会場への案内や参列者への対応など、喪主としてするべきことが多くあります。
慌てずスムーズに食事(お斎)を行うためには、事前の準備や当日の流れを把握しておくのが大切です。
