「法要と法事って何が違うの？」
「準備や案内の時に、どっちの言葉を使うべきか迷う…」
法要と法事は似ているようで、実は意味も使われ方も異なります。
何となくで済ませてしまうと、親族との間で恥をかいてしまう可能性もあるでしょう。
本記事では、法要と法事の違い・準備の内容・当日の流れを解説します。
法事・法要の違いについて理解し、安心して準備を進めたい方はぜひ参考にしてみてください。
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＜この記事でわかること＞ ・法事と法要の違い ・地域や宗派による法事・法要の違い ・法要の種類と執り行うタイミング ・法事・法要の準備内容 ・法事・法要の当日の流れ ・法事・法要のマナー |
初めての方でも安心して進められるよう丁寧に解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
法要と法事の違い
亡くなった方を偲ぶ行事として「法要」や「法事」という言葉があります。
どちらも亡くなった方の供養に関わる大切な行事ですが、意味が少し異なります。
- 法要とは：故人の冥福を祈る仏教儀式
- 法事とは：法要とその後の会食などを含む行事全般
以降では、「法要」「法事」の違いや「回向」の意味を解説します。
法要とは：故人の冥福を祈る仏教儀式
法要とは、亡くなった方の冥福を祈り、僧侶にお経を読んでもらうなどして供養する、仏教の儀式そのものを指します。
多くの仏教宗派では、亡くなった方がより良い世界へ行けるように願う「追善供養」を目的として行われます。
追善供養とは「生きている人が良い行いをし、その功徳を亡くなった方に届けよう」という「回向（こうえ）」と呼ばれる仏教の考え方に基づいたものです。
法事とは：法要とその後の会食などを含む行事全般
「法事」という言葉は、「法要」と、その後に設けられる食事会までを含めた、行事全体を指して使われます。
僧侶がお経を読むなどの儀式が「法要」、参加した人たちとの食事なども含めた行事全体が「法事」と理解すると分かりやすいでしょう。
普段の会話では同じように使われるケースも多々ありますが、指し示す内容に違いがあります。
地域や宗派による法要・法事の違い
法要・法事が持つ基本的な意味・目的は変わりありませんが、地域や宗派によって考え方・進め方・執り行う日程が異なる場合があります。
- 地域によって法要・法事の慣習が異なる
- 宗派によって法要・法事に対する考え方が異なる
ひとつずつ見ていきましょう。
地域によって法要・法事の慣習が異なる
住んでいる地域によって、法要や法事の習慣が異なる場合があります。
例えば、法要の後の食事の内容・参加者に渡す引き出物・お供えするものの種類などです。
都市部と地方、あるいは関東と関西など、大きな地域ごとに慣習が異なる場合があります。
北海道の法事・法要の場合は、以下の点が独自の慣習とされています。
- 香典に領収書を発行する
- 会食には黒飯（こくはん）が出る
北海道といっても地域差があり、上記の慣習がない場合もあります。
反対に上記以外の慣習が続いているところもあるため、詳しくない方は地域の方・付き合いのあるお寺・葬儀社に相談してみるのがおすすめです。
宗派によって法要・法事に対する考え方が異なる
仏教にはさまざまな宗派があり、それぞれ法事・法要に対する考え方が異なります。
大きな違いが「法要（追善供養）」に対する考え方です。
ほとんどの宗派では、故人の冥福を祈るために行いますが、浄土真宗では阿弥陀如来の教えを聞く場として開催します。
そのほか、読まれるお経・焼香の回数・執り行う時期なども異なります。
法要の種類と執り行う時期
法要には、大きく分けて2種類が存在します。
- 忌日法要：亡くなった日から四十九日まで7日ごとに執り行う法要
- 年忌法要：亡くなった日から特定の年数で執り行う法要
なお、執り行う日程は命日を基準とするのが一般的です。命日に日程を組めない場合は、前倒しで行います。
後ろ倒しはタブーとされているため、どうしても命日後にしか予定が開かない場合は、付き合いのあるお寺に相談することをおすすめします。
忌日法要：亡くなった日から四十九日まで7日ごとに執り行う法要
忌日法要とは、故人が亡くなった日から数えて7日ごとに行われる法要です。
忌日法要の日程は以下のとおりです。
| 法要 | 執り行うタイミング |
|---|---|
| 初七日 | 命日から7日目 |
| 二七日 | 命日から14日目 |
| 三七日 | 命日から21日目 |
| 四七日 | 命日から28日目 |
| 五七日 | 命日から35日目 |
| 六七日 | 命日から42日目 |
| 七七日 | 命日から49日目 |
※百箇日までを忌日法要とする考え方もあります。
仏教では、故人の魂は亡くなってから四十九日間、この世をさまようと考えられており、この期間を中陰と呼びます。
故人の魂がさまよっている間、7日ごとに閻魔大王などの十王による審判が行われるとされています。
審判の結果が良いものになるよう、遺族が故人のために祈る仏教行事が忌日法要です。
特に初七日と四十九日は重要な節目とされ、親族などを招いて法要を行います。
年忌法要：亡くなった日から特定の年数で執り行う法要
年忌法要は、故人の命日に合わせて定められた年に行う法要です。
以下の期間に執り行います。
| 法要 | 執り行うタイミング |
|---|---|
| 一周忌 | 命日から満1年後 |
| 三回忌 | 命日から満2年後 |
| 七回忌 | 命日から満6年後 |
| 十三回忌 | 命日から満12年後 |
| 十七回忌 | 命日から満16年後 |
| 二十三回忌 | 命日から満22年後 |
| 二十七回忌 | 命日から満26年後 |
| 三十三回忌 | 命日から満32年後 |
表に記載の三十三回忌以降も、五十回忌・百回忌と続きますが、現在では三十三回忌をもって弔い上げとする方が増えています。
弔い上げの後は、ご先祖様としてまとめて供養していく形になります。
法要をいつまで行うかは、地域・宗派・家庭の考えによって異なります。
法事・法要の準備内容と予算 
法事・法要にはさまざまな準備が必要です。3カ月前から進めておくと、余裕を持って進められます。
準備内容は以下のとおりです。
- 僧侶への相談と日程・場所の決定
- 参列者の範囲決定と案内状の送付
- 供花・供物の手配
- 会食の手配
- 引き出物の手配
- お布施・御膳料・お車代の準備
- お仏壇・お墓の掃除
それぞれの内容を見ていきましょう。
僧侶への相談と日程・場所の決定
最初に行うのは、僧侶（お寺）への相談と、法要の日程・場所の決定です。
| 相談先 | 付き合いのあるお寺 |
|---|---|
| 日程 | 年忌法要では祥月命日が理想だが、平日の場合は土日に前倒しするのが一般的 |
| 場所 | 自宅・お寺・斎場・ホテルなど |
| 注意点 | 僧侶や会場の都合を確認し、早めに確定する |
自宅以外で執り行う場合は会場費が必要です。場所によって異なりますが、数万円〜数十万円を目安にしておくとよいでしょう。
参列者の範囲決定と案内状の送付
次に、法要にお呼びする参列者の範囲を決めます。
| 参列者の決め方 | ・一周忌や三回忌：親族・友人など広めに
・七回忌以降：家族中心に縮小 |
|---|---|
| 案内状の内容 | 回忌の種類・日時・場所・喪主の名前・返信期限など |
| 送付時期 | 遅くても法要の1カ月前までにに届くよう送る |
案内状を送付する場合、印刷代や送料が発生します。相場は依頼する会社によって異なりますが、郵便局の場合は1〜10枚で3,520円です。
供花・供物の手配
法要の会場となる祭壇や仏壇にお供えする供花や供物を手配します。
| 供花 | 白を中心に淡い色の花（菊・ユリ・カーネーションなど） |
|---|---|
| 供物 | 果物・お菓子・故人の好物など。日持ちして個包装のものが好ましい |
供花の相場は5千〜2万円、供物の相場は5千〜1万5千円ほどです。
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会食の手配
法要の後に行われる会食の手配をします。予約が取りにくい場合もあるため、3カ月前に確認しておくのがおすすめです。
| 会場 | お寺・斎場・飲食店・ホテル・自宅（仕出し弁当） |
|---|---|
| 料理 | 精進料理が基本だが、故人の好物や一般的な和食も可 |
| 注意点 | アレルギー対応や参列者の年齢層に適した配慮も必要 |
会食は1人あたり3〜5千円ほどが相場です。
引き出物の手配
参列いただいた方へのお礼としてお渡しする引き出物を手配します。
| 品物 | お茶・お菓子・海苔・タオル・洗剤などの「消えもの」 |
|---|---|
| のし紙 |
・水引：黒白または双銀（地域によって黄白） ・表書き：「志」「粗供養」など |
| 記名 | 喪主の姓＋「家」 |
引き出物の相場は、2〜5千円ほどです。
お布施・御膳料・お車代の準備
法要で読経などをお願いした僧侶へのお礼としてお布施を準備します。
| お布施 | ・三回忌まで：3〜5万円が相場
・三回忌以降：1〜5万円が相場 |
|---|---|
| 御車代 | 僧侶の交通費。5千〜1万円が相場 |
| 御膳料 | 僧侶が会食を辞退する場合の代替費。5千〜1万円が相場 |
| 封筒 | 白無地の封筒に表書きをして用意 |
お布施には白無地の封筒を用意します。
お布施の表書きや渡し方など、詳しくは以下の記事をご参照ください。
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お仏壇・お墓の掃除
法要の前に、お仏壇やお墓をきれいにしておくのも大切な準備のひとつです。
| 仏壇掃除 | 仏具を拭き、周囲を整える |
|---|---|
| 墓地掃除 | 墓石を洗い、雑草を抜くなどして清掃 |
お墓が遠方の場合は、石材店などに清掃を依頼することも可能です。金額は依頼先によって異なりますが、10,000円〜が相場とされています。
法要・法事当日の流れ
法要・法事の当日の流れは、以下のとおりです。
| 喪主・遺族の集合と準備 | 法要開始より早めに会場に入り、お供え物や供花の配置を確認します。
また、受付係や案内係など、役割分担を再度打ち合わせしておきましょう。 |
|---|---|
| 参列者のお迎え・受付 | 受付係が参列者を迎え、香典を受け取ります。他にも、会場内の席案内・クローク案内などのをします。 |
| 僧侶の入場 | 参列者は着席して静かに待機しましょう。僧侶が入場したら合掌または黙礼します。 |
| 施主の開始挨拶 | 忙しい中の参列への感謝、回忌の回数などを伝えます。挨拶が終わると法要の開始です。 |
| 読経 | 僧侶による読経が始まります。時間の目安は20〜30分ほどです。 |
| 焼香 | 僧侶の合図で焼香を開始します。順番は、喪主・親族・一般参列者です。 |
| 法話 | 僧侶による法話が始まります。時間の目安は10〜15分ほどです。 |
| 僧侶の退場 | 合掌または黙礼で見送ります。 |
| 墓参り | 会場から墓地へ移動し、お墓参りをします。 |
| 法要終了の挨拶・会食案内 | 法要終了の感謝と御礼、会食の場所・時間を案内します。 |
| 会食 | 開始前に施主の挨拶があり、親族代表などから献杯の挨拶をします。節度を持って食事と歓談をし、喪主からの締めの挨拶で会食は終了です。 |
| 参列者のお見送り・解散 | 引き出物を渡して法事・法要は終了です。 |
納骨法要を同日に執り行う場合は、お墓参りのタイミングで実施します。
法要・法事で守るべきマナー
法要・法事は故人を偲び供養する大切な行事のため、敬意と配慮をもって参列するのが大切です。
参列する場合は、以下のマナーに配慮しましょう。
- 服装は基本的に喪服を着用する
- 香典の金額は故人との関係性によって決める
- 数珠やハンカチは忘れずに持参する
- お供え物は「消え物」を用意する
- 法事・法要の回数に応じて言葉を使い分ける
- 欠席する際は早めに連絡する
それぞれのマナーを解説します。
服装は基本的に喪服を着用する
法事・法要では、回忌の回数によって着用する喪服が異なります。
- 三回忌まで：準喪服
- 七回忌以降：略喪服
準喪服とは、正喪服に次ぐ格式の喪服です。
男性の場合は、漆黒で光沢のないブラックスーツが基本で、白無地のワイシャツや黒のネクタイ、黒の革靴などと合わせます。
女性は光沢のない黒のワンピース・アンサンブル・スーツなどが一般的です。
略喪服は、喪服の中で最も格式が低い略式の服装です。黒・濃紺・ダークグレーなどのスーツやワンピースが該当します。
なお「平服でお越しください」とされた場合は、略喪服を指します。
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香典の金額は故人との関係性によって決める
法要に参列する際は香典（不祝儀）を持参するのがマナーです。
包む金額は、故人との関係性によって変動します。一般的な相場や香典のマナーは以下のとおりです。
| 金額の目安 | ・親族：1〜5万円
・友人・知人：5千〜1万円 |
|---|---|
| 香典袋の選び方 | ・水引：白黒または双銀（結び切り）
・表書き：四十九日前は「御霊前」、以降は「御仏前」 ・名前：フルネームを記入 |
| お札の入れ方 | ・肖像画が裏面を向くように入れる
・新札か旧札かは地域の考え方によって異なる |
受付で渡すまでは、袱紗に包んで持ち運ぶのがマナーです。
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数珠やハンカチは忘れずに持参する
法事に参列する際は、以下の品物を忘れないよう、前もって準備しておきましょう。
- 香典
- 数珠
- 袱紗
- ハンカチ
- バッグ
数珠は自分のものを用意しましょう。貸し借りはよくないとされているため、忘れた場合は会場の近くで購入するのがおすすめです。
ハンカチは白か黒の無地のものを選びます。バッグは黒の布製で、光沢や金具が目立たないシンプルなデザインのものが最適です。
お供え物は「消え物」を用意する
参列者がお供え物を持参する場合、品物選びやのし（かけ紙）のマナーに配慮が必要です。
| 適した品物 | 日持ちする菓子・果物・缶詰など |
|---|---|
| 適していない品物 | 肉・魚などの生もの、香りの強いもの |
| のし（かけ紙） | のし無しのかけ紙、水引は黒白または黄白の結び切り |
| 表書き | 「御供」「御供物」とし、下にフルネームを記載 |
お供え物は必須ではないため、持参しなくてもマナー違反にはなりません。
ただし、自分の立場が親族の場合は、用意したほうがよいとされています。
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法事・法要の回数に応じて言葉を使い分ける
参列者は、会場に到着した際に受付で挨拶をします。一般的な文例は以下のとおりです。
「本日はお招きいただき、恐れ入ります」
施主や遺族に対しては「本日はお伺いできてよかったです」など、状況に応じた言葉をかけます。
ただし、遺族は忙しくされている場合も多いため、長々と話し込まず、簡潔に気持ちを伝えるようにしましょう。
欠席する際は早めに連絡する
やむを得ない事情で欠席する場合は、できるだけ早く欠席の連絡を入れましょう。
取り急ぎ電話などで直接伝え、改めて返信はがきや手紙などで欠席の旨を伝えると丁寧です。
なお、欠席する場合でも、故人への弔意を示すために、香典やお供え物を送っても問題ありません。
ほかにも、後日改めて弔問に伺う方法もあります。
香典を送る際は現金書留を利用し、お悔やみの手紙も添えるのがおすすめです。
【Q&A】法事・法要に関してよくある質問
法事・法要に関してよくある質問をまとめました。
- Q.法要は仏滅や友引を避けるべきですか？
- Q.菩提寺がない場合はどうすればいいですか？
ひとつずつ回答します。
Q.法要は仏滅や友引を避けるべきですか？
A.基本的に六曜を気にする必要はありません。
六曜は中国から伝わったもので、仏教の教えとは直接関係がないためです。
法要の日程は、故人の命日・僧侶や参列者の都合などを優先して決めるのが一般的です。
ただし、地域によっては六曜を気にする慣習が残っている場合もあります。
心配な場合は親族などに相談してみるとよいでしょう。
Q.菩提寺がない場合はどうすればいいですか？
A.菩提寺がない場合の僧侶の手配方法は、主に2つあります。
- 葬儀でお世話になったお寺に連絡してみる
- 僧侶派遣サービスを利用する。
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まとめ：法事と法要の違いは
「法要」とは、読経・焼香など故人を供養する儀式そのものを指します。一方で、会食を含む一連の行事全体を指すのが「法事」です。
近年は混同される場面も多いため、厳密に使い分ける必要はありません。
どちらも故人を偲び、遺族が気持ちを整える大切な機会であることには変わりありません。
今後ご自身で準備を進める際は、意味の違いを理解したうえで、早めに準備するのがおすすめです。
