「葬儀で包むお金の意味や渡し方のマナーを知りたい」
「金額で失礼がないよう相場を把握しておきたい」
このように考える方も多いのではないでしょうか。
故人が亡くなられた際に包む金銭には「お布施」と「香典」の2種類があります。
それぞれに用意の仕方や渡し方のマナーが異なります。
地域性・宗教宗派・故人(またはお寺)との付き合いによって相場も変わるため、不安に思う方も多いでしょう。
本記事では、葬儀に際して包むお金の基本的な知識を解説します。葬儀を執り行う予定の方や、参列予定の方はぜひ参考にしてみてください。
<この記事でわかること>
・お布施と香典の意味
・お布施と香典の相場
・お布施と香典の包み方
・お布施と香典の渡し方
葬儀で包むお金は「お布施」と「香典」の2つ
葬儀で包む金銭には大きく以下の2つがあります。
- 遺族が宗教者へ渡す「お布施」
- 参列者が遺族へ渡す「香典」
それぞれの意味や役割について見ていきましょう。
遺族が宗教者へ渡す「お布施」
お布施とは、宗教者に渡す金銭です。故人を供養してくれたことへのお礼や、本尊へのお供えとして渡します。
お経をあげる儀式において必要な金銭であるため、葬儀だけでなく四十九日法要・一周忌法要・その後の法要でも包みます。
参列者が遺族へ渡す「香典」
香典とは、参列者がご遺族に対して渡す金銭です。葬儀に際して発生する経済的負担を軽減する目的や、故人を弔う意味で包みます。
初七日法要や四十九日法要までは参列した際に包みますが、以降は包まないケースが多い傾向です。
お布施の相場
お布施の相場は地域によって異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
地域 | お布施の相場 |
---|---|
北海道 | 25〜35万円 |
全国 | 40〜50万円 |
お寺との関係性・宗教宗派・戒名のランクによっても変わるため、表はあくまでも目安として参考にしてください。
【関連記事】家族葬のお布施の相場金額とは?表書きとお金の入れ方~正しい渡し方
香典の相場
香典は、故人と血縁が近い、または関係が深いほど包む金額が高額になる傾向です。
故人との関係性における相場を以下の表にまとめました。包む際の参考にしてみてください。
故人との関係 | 相場 |
---|---|
親 | 5〜10万円 |
祖父母 | 1〜5万円 |
兄弟・姉妹 | 3〜10万円 |
叔父・叔母 | 5千〜3万円 |
その他の親戚 | 5千〜2万円 |
友人 | 5千〜1万円 |
会社関係者 | 5千〜1万円 |
ご近所さん | 3千〜1万円 |
香典は、必ず上記の金額を包まなければならないという決まりはありません。ご自身の年齢や経済状況に合わせ、無理のない金額を用意しましょう。
お金を包む封筒の種類
お布施と香典は、以下のように用意する封筒の種類が異なります。
- お布施は「白無地の封筒」
- 香典は「不祝儀袋」
封筒の選び方やマナーについて見ていきましょう。
お布施は「白無地の封筒」
お布施を包む際には白無地の封筒を用意します。
郵便用の、郵便番号の記入欄がある封筒を用意する方がいますが、お布施を包む時は何も書いていない無地の封筒を選びましょう。
水引は必要ありませんが、地域や宗派によっては水引が必要な場合があるため、前もって確認しておくと安心です。
とはいえ、水引の有無によって怒られたり、注意されたりということは基本的にありません。
間違えないか不安な方は、あらかじめ「御布施」と印字されている封筒を選ぶと良いでしょう。
印字された封筒は、コンビニやスーパーなど身近な場所で購入できます。
香典は「不祝儀袋」
香典には「不祝儀袋」と呼ばれる封筒を用意します。
弔事の際に用いられる封筒で、白黒の水引が印刷されているか、掛けられているのが特徴です。
水引の結び目は「結び切り」または「あわじ結び」の物を選びます。
ただし、キリスト教の場合は水引は必要ありません。
表書きの書き方
表書きの書き方は、宗教宗派によって細かなマナーが存在します。以下に分けて、表書きの書き方を見ていきましょう。
- お布施は「お布施・御布施」
- 香典袋は「御霊前・御香典」
ひとつずつ解説します。
お布施は「お布施・御布施」
お布施の表書きは、縦書きで「お布施」または「御布施」と書きます。
「お布施」「御布施」は封筒の上部に書き、下部には喪主のフルネームを記しましょう。
中袋があれば表面に包んだ金額を、裏面には住所・氏名を記入します。
中袋がない封筒を使用する場合は、裏面に包んだ金額・住所・氏名を記入しましょう。
香典袋は「御霊前・御香典」
香典の表書きは相手の宗教宗派に合わせるのが基本です。
日本の葬儀はほとんどが仏教で行われるため「御霊前」または「御香典」と書きます。
ただし、浄土真宗の葬儀では教義の違いにより「御仏前」と書くのがマナーです。「御霊前」は使用しないため、故人の宗派が浄土真宗だとわかっている場合は注意しましょう。
宗派が分からない場合は「御香典」と記入すれば間違いはありません。
水引の下には包んだ方のフルネームもしくは「〇〇家」と記入します。
なお、神道の場合は「玉串料」「御榊料」、キリスト教は「御花料」と書き分けます。
【御布施】お金の包み方
お布施を包む際は、以下の点に注意しましょう。
- お札は表向きに入れる
- 新札を用意する
ひとつずつ解説します。
お札は表向きに入れる
お布施のお札は表向きに入れます。
お布施は僧侶(または本尊)へのお礼という意味があるため、慶事と同じように取り出した際に肖像画が見えるように入れるのがマナーです。
新札を用意する
可能であれば新札を用意します。
ただし、逝去から葬儀まで余裕がないケースが多いため、新札を用意できなくても問題はありません。
極端にボロボロのお札は控えるべきですが、使用済みであっても失礼には当たらないと考えられています。
【香典】お金の包み方
香典を包む際は、以下の点に留意しましょう。
- お札は裏向きに入れる
- 使用済みのお札を用意する
ひとつずつ解説します。
お札は裏向きに入れる
香典を包む際は裏向きにお札を入れます。
故人を失った悲しみで顔を伏せるという意味を表現するためです。
また、肖像画は封筒の下側にくるよう入れるのが正しいマナーとされています。
使用済みのお札を用意する
香典の場合は使用済みのお札を包みます。
新札は、故人の逝去に向けてあらかじめ用意していたという意味に取られてしまうためです。
ただし、明らかに汚れていてボロボロのお札は控えましょう。
また、新札しか手元にない場合は、一度折り目をつけてから包むなどの配慮をしましょう。
包んだお金を渡すタイミング
用意する人と渡す相手が違うため、タイミングもそれぞれ以下のように異なります。
- お布施は葬儀前後に渡す
- 香典は葬儀前に受付で渡す
ひとつずつ解説します。
お布施は葬儀前後に渡す
お布施を渡すタイミングは地域や寺院によって異なります。
コープの家族葬がある北海道では一般的に還骨法要(繰り上げ法要)終了後、僧侶が控え室に戻られてから、喪主が僧侶に挨拶をする際にお渡しします。
その際は直接渡すのではなく、お盆に乗せたり、袱紗を座布団がわりに敷くのがマナーです。
ただし、葬儀前に渡すことが慣例となっている地域も多くありますので、事前に葬儀社に確認しておくと安心できるでしょう。
香典は葬儀前に受付で渡す
香典は葬儀の受付にてお渡しします。受付で出すまでは袱紗に包み、直前に取り出して受付係から読めるように向きを変えて渡すのがマナーです。
その際「お悔やみ申し上げます」「ご愁傷様でございます」と、お悔やみの言葉を一言添えましょう。
【Q&A】葬儀で包むお金に関してよくある質問
葬儀で包む「お布施」や「香典」に関してよくある質問をまとめました。
Q.お金を包む余裕がないときはどうすればいいですか?
Q.葬儀を欠席する場合、香典はどうやって渡せばいいですか?
ひとつずつ回答します。
Q.お金を包む余裕がないときはどうすればいいですか?
A.無理のない範囲で包むようにしましょう。
葬儀に参列するのであれば、少額でもよいので香典を包むのがマナーです。
僧侶に対するお布施も同じです。生活が苦しくなるほどの金額は必要ないので、感謝を伝えるためにもいくらか包みましょう。
Q.葬儀を欠席する場合、香典はどうやって渡せばいいですか?
A.後日香典を郵送するか、弔問に訪れて直接渡す方法があります。
後日香典を送る方法は、以下の記事で解説しています。参考にしてみてください。
【関連記事】家族葬の場合に香典袋を現金書留で送る際のマナー|送るタイミングや挨拶状の書き方を解説
まとめ:葬儀に関するお金の包み方には相手への敬意が込められている
葬儀で包む封筒には「お布施」と「香典」の2種類があります。
お布施は僧侶(もとい本尊)へお渡しする金銭、香典はお悔やみの気持ちを込めてご遺族へ渡す金銭です。
書き方や包み方は宗教宗派によって異なります。不安な方は葬儀を依頼した葬儀社、もしくは地域の葬儀社に聞くと確実です。