「親族が亡くなった際、どこまでの範囲に香典を包むべき?」
「香典の金額はいくらにするのがマナー?」
香典は故人との関係性や地域性によって基準が異なるため、包むべきか、いくら用意するべきか悩む方もいるでしょう。
本記事では、親族が亡くなった場合、どの範囲まで包むべきか、またいくら包むべきかを解説します。
親族間の香典で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
<本記事でわかること> ・親族として香典を包むべき範囲 ・香典の相場 ・表書きの書き方 ・香典を包む際のマナー ・香典の渡し方 |
葬儀で香典を用意する範囲
一般的に、親族として香典を用意する範囲は三親等までとされています。三親等の範囲は以下のとおりです。
親等 | 対象 |
---|---|
一親等 | 両親・子 |
二親等 | 兄弟姉妹・祖父母・孫 |
三親等 | 叔父叔母・曾祖父母・甥姪・ひ孫 |
三親等までは用意するべき、というのは一般的な考え方であり、決まりではありません。
例えば、幼少期より親しくしていた従兄弟や、付き合いの深かった遠縁の親戚などの場合は三親等に限定せず香典を出します。
反対に、三親等以内であっても疎遠状態が長かった場合は、香典を包まないこともあります。
香典を用意するかは、故人や遺族との付き合いによって決めるのがおすすめです。
ただし、葬儀に参列するなら関係性に関わらず必ず香典を用意しましょう。
三親等以内でも香典が不要なケース
三親等以内で関係性が深い方であっても、以下の条件に該当する場合は香典を用意する必要はありません。
- 故人が実の両親で自身が喪主や施主を務める場合
- 自分が学生の場合
- 遺族が香典を辞退している場合
ひとつずつ見ていきましょう。
故人が実の両親の場合
両親が亡くなった場合、自分自身が喪主や施主であれば、香典は必要ありません。
ただし、ご自身が喪主や施主を務めない場合や別世帯を持っている場合は、香典を用意するケースが多いようです。
自分が学生の場合
学生の立場で葬儀へ参列する際も香典は不要です。収入がない学生は、基本的に親が香典を準備するためです。
ただし、大学生は大人とみなされるため、自分の名前で香典を包みましょう。
遺族が香典を辞退している場合
ご遺族が香典を辞退している場合、そのお気持ちを尊重して香典を控えます。
故人にお世話になった方は、お悔やみの気持ちとして渡したいと思うかもしれません。
しかし、無理に渡すと迷惑をかけてしまうため、控えるのがマナーです。
香典以外でも供花や供物を送るなどすれば弔意は伝わります。
ただし、供花や供物も辞退するケースがあるため、よく確認してから送る必要があります。
供花の送り方は以下の記事で解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】通夜や葬儀に贈る供花の金額相場・手配方法・マナーを宗教別に解説
親族の葬儀で包む香典の相場
香典の金額は、基本的に血縁関係が濃いほど高くなる傾向です。
とはいえ、さまざまな要素によって変動するため、一概に血縁関係によって金額が決まるとは限りません。
本記事では、香典の相場について以下の基準に分けて解説します。
- 関係性による相場の違い
- 地域による相場の違い
- 葬儀形式による相場の違い
ひとつずつ見ていきましょう。
関係性による相場の違い
故人との関係性における香典の相場は以下のとおりです。
故人との関係 | 相場 |
---|---|
親 | 5〜10万円 |
祖父母 | 1〜5万円 |
兄弟・姉妹 | 3〜10万円 |
叔父・叔母 | 5千〜3万円 |
その他の親族 | 5千〜2万円 |
社会人になったばかりで収入がそれほど多くない場合は、高額な香典を包まなくても問題はありません。
年配者で故人との付き合いが長い場合は、相場にのっとって無理のない範囲で包むのがよいでしょう。
ただし、高額すぎる香典は相手に気を使わせてしまう可能性があります。常識の範囲で弔意を伝えられる金額を用意しましょう。
なお、配偶者の親族や結婚した子どもの親族などが亡くなった場合は、ご自身の立場に当てはめた金額を包むのが無難です。
地域による相場の違い
香典は地域によっても相場が変動します。相手側の地域の相場を細かく把握している場合は、考慮しつつ金額を用意しましょう。
分からない場合は、前項で紹介した関係性別の相場を参考にして問題はありません。
なぜなら、地域によって相場は異なるものの、極端な地域差は少ないためです。
葬儀形式による相場の違い
一般葬・家族葬・火葬式(直送)など、葬儀形式によって相場が変動することはありません。
基本的には親しくしてた方には多く包み、弔意を伝えるとともにご遺族の負担を軽減してあげましょう。
また、「家族葬の場合、香典は必要ない」といった情報も耳にしますが、こちらは真実ではありません。
家族葬であっても参列する場合は香典を包みます。
【事前にチェック】香典の金額に関する注意点
香典を包む際は、以下の点に注意が必要です。
- 新札は使用しない
- 偶数は控える
- 端数が出る金額は避ける
ひとつずつ見ていきましょう。
新札は使用しない
香典では使用済みのお札を用意するのがマナーです。
新札を包むのは「あらかじめ故人の不幸を予想してた」という意味にとられるためです。
ただし、ボロボロすぎるお札は失礼にあたるため、香典に使用するのは控えましょう。
どうしても新札しかない場合は、一度折り目をつけてから包みます。
偶数は控える
香典の金額は、奇数で包むのがよいとされています。
偶数は、割り切れる数字であることから「縁が切れる」として縁起が悪いと考えられているためです。
可能であれば1・3・5・7から始まる金額を包みましょう。
ただし、奇数でも「9」は避けるべきと言われています。理由は次項で解説します。
端数が出る金額は避ける
1万5千円など、端数が出る金額は香典としてふさわしくありません。
連名でやむを得ず端数が出てしまう場合を除き、できるだけ避けましょう。
ただし、連名でも小銭が入るのはマナー違反です。
「4」と「9」は避ける
「4」と「9」は「死」「苦」を連想する数字として、香典では避けるべきと言われています。
「忌み数字」とも呼ばれており、香典だけでなく、弔事の場では使用するべきでない数字です。
香典の封筒の選び方
香典袋は包む金額によって選び方が異なります。一般的な基準は以下のとおりです。
香典の金額 | 香典袋(不祝儀袋) |
---|---|
5千円 | 水引が印刷された不祝儀袋 |
1〜2万円 |
白黒または双銀の水引がかかった不祝儀袋 (水引は7〜10本が理想) |
3〜9万円 |
双銀の水引がかかった不祝儀袋 (水引は10本が理想) |
10万円以上 | ひだ折がある大判の不祝儀袋 |
水引は「結び切り」または「あわじ結び」と呼ばれる結び方のものを使用します。
2つは一度結ぶと解けない結び方であり、「不幸を繰り返さないように」という願いや意味をこめ選択します。
香典の書き方
香典の書き方には複数のマナーがあります。ご遺族に失礼がないよう、本章では以下の項目に分けて基本的なマナーを解説します。
- 表書きは薄墨を使用
- 仏教|「御香典」または「御仏前」
- 神道|「御榊料」または「御玉串料」
- キリスト教|「御花料」
ひとつずつ見ていきましょう。
表書きは薄墨を使用
表書きを記入する際の筆記用具は薄墨を使用するのがマナーとされています。
薄墨を用いるのは「涙で文字がかすんだ」「急な訃報で墨をする時間がなかった」という意味を表すためです。
ただし、北海道ではあまり薄墨を使用する場面は見られません。用意が難しければ一般的な筆ペンを使用しても差し支えないでしょう。
仏教|「御香典」または「御仏前」
仏教では、故人が亡くなってから経過した日数によって表書きの書き方が変化します。
故人が亡くなられてから経過した日数 | 表書きの表記 |
---|---|
四十九日まで | 御霊前・御香典 |
四十九日を過ぎてから | 御仏前・御香典 |
仏教の教えでは、故人の魂は49日後に次の世界へ生まれ変わると信じられているためです。
ただし、逝去後すぐに仏様のいる極楽浄土へ生まれ変わるとされている浄土真宗では「御霊前」は使用しません。
「御霊前」「御仏前」「御香典」等と書いた下には、氏名を記入します。1名の場合はフルネーム、夫婦で包んだ際は旦那のフルネームと左に妻の名だけを記載します。
香典の中袋には、表面に包んだ金額、裏面に郵便番号・住所・氏名を記入しましょう。
なお、金額は漢数字の大字で記入するのがマナーです。数字の改竄を防ぐ目的があります。
一 | 二 | 三 | 四 | 五 | 六 | 七 | 八 | 九 | 十 | 百 | 千 | 万 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
壱 | 弐 | 参 | 肆 | 伍 | 陸 | 漆 | 捌 | 玖 | 拾 | 佰 | 仟 | 萬 |
例えば、1万円を包んだ場合は「金壱萬円他」と記載します。
神道|「御榊料」または「御玉串料」
故人の宗派が神道の場合は、表書きを「御榊料」「御玉串料」「御神饌料」とします。仏教で使用する「御霊前」でも問題はありません。
名前・金額の書き方は仏教の包み方と同じです。
キリスト教|「御花料」
キリスト教の葬儀に参列する場合は、教派がプロテスタント・カトリックいずれかによって書き方が異なります。
どちらか分からない場合は「御花料」と記入すれば問題はありません。
教派がわかっている場合は、以下のように記載しましょう。
教派 | 表書き |
---|---|
プロテスタント | 忌慰料・御花料 |
カトリック | 御ミサ料・御花料 |
なお、キリスト教の場合、封筒は白無地または十字架・百合が書かれているものを用意します。
蓮が描かれている封筒は仏教用のため、選ばないよう注意が必要です。
香典の包み方
香典は、お札を取り出した際に裏面が見えるように入れます。肖像画が描かれているほうは、封筒の下に向けるのがマナーです。
肖像画を裏面にすることで「悲しみで顔を伏せている」という意味を伝えるためです。
香典の渡し方
以下の状況における香典の渡し方やマナーを解説します。
- 受付がある場合
- 受付がない場合
家族葬の場合は受付がないケースも多いため、前もって把握しておきましょう。
また、受付の有無に関わらず香典は袱紗に包んで持参するのがマナーです。
裸のままスーツの裏ポケットやバックに入れている方もいますが、そのままだと水引がくずれたり、香典袋が折れてしまう可能性があります。
必ず袱紗に包んで持参しましょう。
なお、袱紗は寒色系の弔事用を用います。間違っても慶事用を使わないよう注意しましょう。
紫色は慶弔どちらでも使用できるため、ひとつ用意しておくと重宝します。
受付がある場合
受付に着いた際に袱紗から香典を取り出し、受付係が読めるように向きを変えて渡します。
その際は「この度はご愁傷様です。お悔やみ申し上げます」と簡潔にお悔やみ言葉を添えると丁寧です。
受付がない場合
受付がない場合は、遺族へ直接香典を渡します。渡し方は受付がある場合と同様、簡単にお悔やみ言葉を伝えてから相手に読める向きで手渡します。
ご遺族から「どうぞ霊前に」と言われた場合、手を合わせて御霊前へ添えましょう。その際は、正面から読める向きでお供えします。
郵送で香典を送る方法
どうしても葬儀に参列できなかった場合は、葬儀後に現金書留で郵送する方法もあります。
送り先は喪主または葬儀の代表者で、葬儀から1週間以内に届くよう手配します。
香典袋には、参列できなかったお詫びと、香典を同封している旨の手紙を添えるのがマナーです。
香典を郵送する際のマナーについては以下の記事で解説しています。参考にしてみてください。
【関連記事】家族葬の場合に香典袋を現金書留で送る際のマナー|送るタイミングや挨拶状の書き方を解説
まとめ:親族の葬儀にも香典は必要
親族が亡くなった場合、一般的には三親等まで香典を用意するべきとされています。
とはいえ、故人との関係性や意向によって要不要は変わるため、一概に三親等だけに香典を包むという訳ではありません。親しい間柄であれば遠縁でも包みます。
また、関係性に関わらず葬儀に参列する際は、基本的に香典が必要です。ご自身の年齢や故人との関係性に合わせて、適切な金額を包みましょう。